夕焼けの頃に［M.S］

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「ただいま」

静かに玄関のドアを閉めると、


「おかえり」

そういって部屋の中からAが顔を覗かせた。



「ずっと起きてたの？」


「ううん。寝たり起きたり」


ぽやっとした眠そうな目で
こっちにトコトコ歩いてくるから可愛い。

そのままピトッと抱きついて、

「会いたかった」

と言われるから、

「俺もだよ」


そう言ってそっと抱きしめると、
以前よりもお腹の膨らみを感じる。


少し前に、通う病院を変えた。

「今度の先生は、何しても褒めてくれるからかえって恥ずかしいです」

とAは言ってたけれど、
雰囲気もよく、優しい先生に出会えて良かったと思う。


お腹の膨らみが平均より小さいことを

先生からは気にしすぎないようにと
言われていたけれど、

Aも俺もやっぱり気になっていた。


それが、ここ最近は服の上からもわかるくらいになってきた。

そういう些細な変化が嬉しくて。


「あのね、たぶん動いた」


「ん？」


「まぁくんに触ってほしかったけど、今は大人しくなっちゃいました」



それはなんとも表しがたい嬉しさで。


自分が2人を守るんだって思った。

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