夕焼けの頃に［M.S］

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「ねぇまぁくん。あの子、急に『シンデレラになるのやめる』って言い出したんだけど、何か知ってる？」


子供が寝静まった後、
Aが俺に聞いてきた。


「あぁ……写真見たからかな」


「写真……？」


「この前、Aが出かけた日、
あの子連れて実家行ったでしょ？」


「うん」


「その時に見たんだ。
俺らの結婚式の写真を、お袋が写真立て……というより、額縁みたいなのに入れてるやつ」


「お義母さん、まだ飾ってらっしゃったの」


Aはようやく理解したようで、

頬に両手を当てて顔を赤らめた。



「今まではあの子も気づいてなかったけど、ようやく、あの写真の中の人はママとパパなんだって認識したみたい」


「そっかあ」


「それで、『おひめさまはママだから、おはなやさんになる』ってさ」



「発想がかわいい。でも、思わぬ形で夢を壊しちゃって、申し訳ないな……」


Aは娘の夢を変えてしまったことに
少し罪悪感を感じているらしかった。


「いいんじゃない？ あの子なりに考えたんだから」


「それもそうだね」


こういうことで成長していくんだな、
なんて2人でしみじみ思いながら。


「ちょっと待ってて」


そう言ってAは隣の部屋へ行った。



それから、
1冊のアルバムを手にしてすぐに戻ってきた。


「岡田くんが撮ってくれた分」


「あいつホントにすげぇな」


それは岡田が撮影してくれた写真だけが収められた1冊だった。


「久しぶりに見たなぁ。岡田くん本当に上手。
てかまぁくん、なんか若返ってない？」


1枚ずつめくりながら、

写真の中と目の前の俺とを見比べていう。


「んなわけねぇだろ(笑)」


また1枚めくるごとに、

話に花が咲く。

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