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遂に、その日が来た。
けんとくんとの待ち合わせはお昼過ぎ。
じりじりと音がするように暑い駅までの道を、どうにか汗でメイクが崩れないように万全の暑さ対策をして。
今日は、ちょっとお高いかき氷を食べようなんて約束して。
夜ご飯には、お寿司を食べようって。
今日はどうなってしまうんだろう、けんとくんはかわいいと思ってくれるかな、なんてふわふわしながら待ち合わせ場所に向かっていた。
目的の駅まで揺られる電車の中は、いつもの何倍も遠く感じたり、心の準備が整わないまま着いてしまうような、落ち着かない私だけが浮いているように思えた。
……うわあ、どうしよう。待ち合わせの時間まであと10分ある、のに。
わたしの方が先に到着しちゃったみたいやな…なんてぼんやり考えては少ししょんぼりした。その瞬間
『あっ、Aちゃ〜ん！』
すぐ真横で大声で、にこにこきらきらした男の子がわたしを呼んだ。
『今日も暑いなあ〜！早よきてくれたんやね！』
その手にはアイスコーヒーとカフェラテがひとつづつ握りしめられていた。
「え、けんとくん、もっと前からきてたん？」
『なんか早よ着いたからさー！暑いし、冷たい飲み物飲みたいなおもて！どっちがいい？』
コーヒーが飲めないわたしは、ありがと、とカフェラテを選んで受け取った。
イケメンな上に優しいだと？……………なに、沼？
『まだブラックは苦手なんかあ、かわいいなぁ』
ふふふと笑うけんとくんは、こんなに暑いのにすごく爽やかで、息をすることも忘れるくらいに見惚れてしまった。
あああ、ずるいよ！もう！
『かき氷のお店、場所わかる？』
「あ、うん、なんとなくやけど」
『そっか、これもあるし調べんと歩いてみよか』
カラカラと氷の音を鳴らしながら、アイスコーヒーを揺らす。
妙に落ち着きのある彼に、余裕がないのは私ばかりかと少し置いていかれた気持ちになりつつ、穏やかな時間に安心していた。
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作者名：ぽむぷりん | 作成日時：2022年10月12日 18時
