【キヨ】もう一度だけ…【あろまほっと】 (ページ2)

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1-1 [泡沫の恋] ページ2

目が覚めてリビングに降りると、彼の姿はもうありませんでした。

それどころか、彼がここにいたという、一緒に暮らしていたという形跡さえ、ありませんでした。

きっと夜中、私が彼を思って泣いていたうちに荷物をまとめて出ていったのでしょう。

[泡沫の恋]

彼とケンカして別れてから1週間。

ついに私は本格的な独り身になってしまった。

此処の1週間。ご飯を食べる時も、テレビを見ているときも1人だったけれど、"彼の存在"というものはすぐそばで感じられた。

だからそこまで寂しくはなかったけれど。

『仕事行きたくない…』

彼と同じ仕事場。

そりゃあ、会わない確率の方が低いと思う。

日本はやっと梅雨明けしたというのに、私のこのろはまだどんよりと分厚い黒い雲が浮いている。

天気予報を見れば、午後からの雨の降水確率が75%。

なんだかんだ言って、梅雨明けはまだ遠いのかもしれないな。

そんなことを思いながら朝食を作る。

あー。猛烈に仕事に行きたくない…
だけどきょういべんとのうちあわせあるからなぁ…

アイツに全部任せるのは不安でもあるし、申し訳ない…

仮病とか考えていたズルい心を打ち消して、出来上がった朝食を食べようと机に置き、椅子に座る。

そこでやっと気づく。

『うわぁ…やっちゃったー…』

机の上に並んだ2人分の朝食。

生活中に会わなかったといえど、ケンカ中も別れた後も朝食は作り置きしたものを彼は食べていた。

3年間の癖はそう中々抜けてはくれないだろう。

はぁ、と小さくため息をついて自分の食器に手をつけた。