２８ ページ28
no side
Aはいつも通り、屋上にいた。
自分とはまるで真逆な爽やかな風をめいっぱい吸い込むと、小さくため息をついた。
こんな風に、なれたらよかったと、Aはたまにそう思った。
澄み切った綺麗な風のように、どんな穢れも取り払ってくれるような、風になりたいと。
「…どうあがいても無理なものは無理なんだもんね…」
独り言を呟くと、また小さくため息をついた。
「…いるんでしょ？別に隠れなくてもいいよ…
流星。」
Aの真後ろにある扉からヒョコッと顔を覗かせた流星はいたずらっ子のようにはにかんだ。
流星「えー何でわかったん？気づかれへんようにしてたのに」
「だとしたら、私を甘く見たね」
いつものように明るく笑い、楽しく話す。…いつものように？
違う。自分たちに“いつも”なんてない。
明日、大吾が急に向こうの肩を持つかもしれない。明後日は、スノストがAの味方をするかもしれない。
だから、Aは人を１００％信じていない。
信じてはいけない。
ずっとそう思っていた。
「…で？大ちゃんに見つかったら、大目玉食らうんじゃない？いいの？ここに居て」
流星「勘違いせんといてよ。俺が愛奈ちゃんのそばにいるのは意味があるからやで？」
「…だよね、知ってる」
Aはふと、腑に落ちたような顔をすると、口角をあげた。
流星「ごめんな、余計なことしてもうて。でも、ホンマはこれ…」
「それ以上は言わなくていい。どうせ、大ちゃんの計画でしょう。じゃなきゃ、こんなことになるはずがない。」
流星「分かってるやん」
「まあね」
そう言って笑うと、ふと、流星はAの首元に視線が集中する。
流星「…そのペンダント」
「あぁ、これね。…あれ」
流星「分かってるで。そういうことやんな」
「うん」
流星はそう言ってはにかむと、「じゃあ、そろそろ行くわ」と言い、愛奈のもとへ向かった。
「…皆はどこまで気づいたのかな」
大吾の計画は気づいていないだろう。でなきゃ、愛奈と流星をくっつけるわけがない。
「…ホント、頭のまわんない奴ら」
流星の本当の正体を気づかなかったスノストに同情する。
…だが。
気づいたところで、
もう遅い。
Aはそう思うと、また嬉しそうに口角をゆっくりあげた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2586人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すのうHIINA - 音楽ガールさん» そうなんですか！？知りませんでした…変えた方がいいですかね… (2022年10月13日 15時) (
レス) @page28 id: 1662122533 (このIDを非表示/違反報告)
音楽ガール(プロフ) - 漢字は違いますけど虐められていた人達の出身中と某バレー漫画の主人公がいた中学が同じ名前ですけど大丈夫ですか？ (2022年10月9日 21時) (レス) id: c3c20d79e5 (このIDを非表示/違反報告)
すのうHIINA - 出来ました！！皆様、コメントありがとうございました！また何かありましたら、質問させてください！！では、続編でお会いましょう！！ (2022年6月16日 20時) (レス) id: 268efae554 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - ログインしてなくてもできます!昔私もログインしてない状態で移住ができたので!! (2022年6月16日 20時) (レス) id: c060af3ed8 (このIDを非表示/違反報告)
すのうHIINA - 皆さんありがとうございます！いくつか質問したいのですが、作者はログインはしていません。それでもできるんでしょうか？そして、すでに作品をつくっている状態でも大丈夫でしょうか？レスお願いします！ (2022年6月16日 20時) (レス) id: 268efae554 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すのうHIINA | 作成日時：2022年5月29日 17時
