悪女には裏と表があるらしい。

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no side

「…マジでキモイ…」


Aは屋上から降りてきて、静かに呟いた。


どこに行く気にもなれず、何気なく体育館裏へ向かう。


大吾「あれ、A…！？」


恭平「A！なんや！どうしたんや！？」


そこに居た大吾と恭平がAの腫れ上がった頬を見て絶句していた。


「…転んだ。まさか顔から先に地面に着くとは思わなかったよ笑」


大吾「…嘘つけ。ホントにAは嘘が下手やんな」


そういうと、大吾はAの頬を優しく撫でた。赤く腫れた頬に優しい手が染みる。


恭平「ぜっっっったいにあいつらやろ！！クソ…だから嫌いやねん！！マジで地獄に堕ちろ！！」


「きょーへい落ち着け」


恭平「落着けれるかんなもん！！あぁぁぁ！！腹立つ！！どこまでも腹立つ連中やな！！」


ぎゃあぎゃあ恭平は叫んでいる。


？？「…なんや、騒がしいな」


奥にあるベンチで、横たわっていた人がむくっと起き上がる。


恭平「悪かったな！！だってこの顔みてみぃ！！ホントにムカつくねん！！」


？？「…うわぁやったなぁA…誰にやられたん？」


眠たげな眼をこすりながら、言う。


「…誰でもいいでしょ。それに私、根に持つタイプだから、復讐の機会を心待ちにするよ」


？？「なんや、Aらしいな」


仏のような微笑みでAを見つめる。大吾はため息をついた。


大吾「…ホントに丈くんはマイペースやなぁ…」


丈一郎「まあな。俺は自分のペースで生きてんねん」


「そのドヤってるとこも丈くんらしいわ」


丈一郎「もっと褒めて」


恭平「…アカン、怒る気失せてまうわ」


丈一郎「ええやん恭平。だって考えてみぃ、Aがやられっぱなしで終わるはずがないやん」


恭平「…それもそうやな」


丈一郎「せや。だから俺らはそれの手助けをしたらええねん。だから、指示入るまで、俺は寝る」


そういうと、丈一郎はすぐに横になり、眠ってしまった。


恭平「…丈くんらしいわ」


大吾「…せやんな。とりあえず、Aはその顔冷やそか。一生腫れてもうたらたまんないわ」


「…ありがと」


大吾「ええねんて」


大吾は笑う。恭平はぷうっと頬を膨らませているが、顔は笑っている。丈一郎はすうすうと寝息を立てている。


「…裏切るか、裏切られるか…」


そうは、思わない。


この人たちと一緒にいるときだけは。


他の仲間も…皆と一緒にいるときは。


皆と一緒にいたい。


Aはそう思っていた。

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