自由になりたいと思うのはいけないことですか？ (ページ7)

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土(なんだこの沈黙…)

はぐれないようにと手を繋いでから瀬川の様子がおかしい。
具体的にどこがおかしいかというと異様に静か、
いや、元々静かな性格だとは思うけど
ここまで静かなのは初めてだ。

ちらっと瀬川の方を見りャずっと下を向いたままで

土(とりあえず話しかけてみて、
体調が悪そうなら休める所にでも移動すりャあいいか…)

土「そういやァ、なに書いたんだ？」

「え？」

急に話しかけたことに驚いたのか慌てて顔を上げる。

土(顔色もいいし、
具合が悪くなったわけじャあねェみたいだな)

土「短冊、さっき書いてたろ」

「…あぁ、大したことでは」土「危ねェｯｯ」

大笹竹まであと少しの
十字路に差し掛かったところで視界の端に牛車が映り込む。

土(やべェ、ぶつかるｯｯ)

咄嗟に瀬川を庇うように手をひき牛車に背を向けるが
耐え難い重みのある衝撃がぶつかり、
そのまま瀬川に被さるように倒れてしまった。

土「ｯｯてェ…、おい、瀬川！だい、じょ、う、、ぶ…か？」

あたりを見渡すとさっきと似たような
しかしあまりにも違和感のある景色が広がっている。

土「…んだ、、ここ？」

さっきまで握っていた左手の温もりはなく
一緒に倒れたはずの瀬川も見当たらない。
それに

土(人間か…？)

屋台を楽しむそれは怪異ではなく人間だった。

土(俄には信じ難いが…境界の外の祭りに来ちまったって
ことか…？)

訳がわからなくてガシガシと頭を掻く。

？「おにぃちゃん、だいじょーぶ？？」

ふと頭上から声が聞こえた。
どこか面影のある、しかし聞き覚えのない声に顔をあげると
小学生ぐらいの女の子が立っていた。

？「ねー、おにぃちゃんだいじょーぶ？」

土「…あ、あぁ、大丈夫だよ」

眉を下げて心配してくるその子にほらと立ってみせる。

？「よかったぁ」

土「ところで、お前一人か？お父さんやお母さんは？」

七番が生きてた頃よりも治安は良くなっていると思うが
流石に夜にこんな小さなガキ一人で祭りにはこねェだろう

？「お前じゃないよ！わたしはむすぶ！
わたし、おとーさんとおかーさんはとおくにいるから
おばーちゃんとすんでるの！」

土「そうか、悪かったなむすぶ。
で、ばぁちゃんはどうしたんだ？」

「おばーちゃんとね、はぐれちゃったの
でもね、おまわりさんもみつからなくてどーしよーかなって
おもってたから…いっしょにさがしてくれる？」

そう言って小首をかしげる姿は
なんとなく瀬川に似ていた