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土「で、話すと言ってから
だいぶ時間が立ってるんだが」
先生は冷めきったコーヒーを啜る。

話すと言ったは良いが
一体何から話せばいいのかが分からない。
(ここに来た理由...?それとも、この傷のこと...)
そもそも先生はどこまで気づいているのか。

土「分かった。じゃ、聞き方を変える。
さっきも言ったが、お前が長袖に拘る理由は
身体が弱いからじゃねェだろ?」

「...」私はゆっくりと頷く。

土「そして、俺が思うにホントの理由は
その傷を隠す為だ。」

「...」頷く。

土「で、その傷についてだが...」
先生がそう言いかけたので私はカーディガンを脱ぎ
ブラウスの袖を捲る。

土「...っ!おま、それ...」
先生の目が大きく見開かれる

「ここに来る前の学校で...」
土「家族の人には...」

「両親は知りません...でも、祖母には...」

土「...そうか。」

静まり返る書庫

「何も聞かないんですか?」

土「何もって何をだ?」

「その、なんでこうなった、とか」

土「別に気にならない訳じゃねェよ
ただ、話したくないこともあるだろ」
袖戻しておけ 先生はまたコーヒーを啜る。

土「お前が話したくなったら話せばいい。
そんときゃァいつでも聞いてやるよ
俺ァ、お前の先生だからな」

(先生....か.)
『瀬川、こう言っちゃなんだが、
お前は成績も優秀だ。これ以上この学校に
拘る必要はないんじゃないのか??』
当時の担任の言葉を反芻する

「変なの...。」
土「あ?...!?」

あの日、担任の先生が私に突きつけた言葉には
続きがあった。
『え...でも...』
『実は学年主任の田山先生から、うちのクラスに
いじめがあるんじゃないかと疑われててな
賢いお前ならどういう事か分かるだろ?』
その言葉は今までの私を一瞬で否定し
今の今までずっと私を苦しめてきた。

期待なんてしてはいけない。
どうせ最後には裏切られるのだから。
けれど、土籠先生は違うのかもしれない。
少しだけ信じてみたい。そう思った。

留まることなく私の頬を流れる涙を隠すように
顔を覆った。
おばぁちゃん以外の人の前でこんなに泣いたのは
いつぶりだろうか。
そんな私を宥めるでも、慰めるでもなく
先生はただ、じっと見つめていた。

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設定タグ:地縛少年花子くん   
作品ジャンル:アニメ
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ほまれ(プロフ) - Rainさん» ...嬉しすぎて泣いちゃいます...。少しずつですが、夢主ちゃんと共に成長していけたらと思っています。これからもよろしくお願いします* (2020年7月4日 0時) (レス) id: 6e3f4d506b (このIDを非表示/違反報告)
Rain - 好きです!!夢主ちゃん好き………ほまれ様の文才能力分けて欲しいです〜 (2020年7月3日 23時) (レス) id: 3d2006b17f (このIDを非表示/違反報告)
ほまれ(プロフ) - ミクさん» ありがとうございます*沢山楽しめるように頑張って書き進めて行きますね! (2020年6月28日 21時) (レス) id: 6e3f4d506b (このIDを非表示/違反報告)
ミク - ほまれさん、頭良い!すごい。 (2020年6月28日 21時) (レス) id: 1e828f9e08 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほまれ | 作成日時:2020年6月28日 10時

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