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長い夏休みがあけた。
スケジュール帳に書かれた予定は
ひとつも現実にならなかった。

(真由、どうしたんだろう…。)
なんとなく、ザワつく胸を抑えながら
私は教室のドアを開けた。

賑やかな教室の空気が静まり返る。

(…?)

教室の隅に女子生徒が4人、、
その中に真由を見つけた。
「真由!」
夏休みどうしたの?と声をかける間もなく
私の横を通り過ぎる。

嫌な予感は的中した。

最初は軽い無視程度だった。
私の事などまるで空気のような扱い。
そんなの全然苦ではなかった。
こんな事に負ける気もしなかった。
けれど、ある日から持ち物が無くなり
そうしてついに暴力が始まった。

見えない所を殴られ、蹴られ
痣は消えず、心は壊れ、私の頬を伝う涙は
なぜ流れているのかさえ、分からなくなった。

無論、先生にだって相談した。
必ず助けると言ってくれた。
けれど、最終的に進められたのは転校だった。

先「瀬川、こう言っちゃなんだが、
お前は成績も優秀だ。これ以上この学校に
拘る必要はないんじゃないのか??」

「そうですね…祖母と相談してみます。」
(もう、ここには私の味方は居ないってことか…)




コンコン。
祖「はい、どうぞ。
…あら、Aちゃん。」

「おばぁちゃん、調子どう?」

祖「大丈夫よ。先生の腕がいいのか
前に比べてずっと楽だわ」

「そっか!良かったね。
あ、今日ね、昼休みに…」

この時、既に祖母の身体は病魔に侵され
もってあと半年だろうと宣告されていた。
そんな祖母に要らぬ心配もかけられるわけなく
私は祖母に笑顔で嘘をつくのだ。

(本当はね、ずっと1人なのよ。
ごめんね。おばぁちゃん。)

そうして祖母に嘘をつき続けて一年後、
宣告されていた時間を半年も上回り、
祖母は帰らぬ人となった。

(結局、最後の最後まで本当の事は言えなかったな)
一年前に比べて傷も増え、祖母の死を受け入れるしか無かった私は学校へ行くことをやめた。

祖母との思い出が詰まった部屋を見渡す。
涙はとうの昔に枯れてしまった。
(もう、全てやめにしようかな。)
ふらふらと歩く私の後ろから

祖「Aちゃん」

祖母の声がした。

(あぁ、ついに幻聴まで聴こえるようになってしまったのか。)
自然と自嘲の笑みが零れる。

「はは、おばぁちゃんはもういないのに
聴こえるわけなんて」

祖「居るわよ。ここに」

「え?」
顔をあげると確かにそこに祖母の姿があった。

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設定タグ:地縛少年花子くん   
作品ジャンル:アニメ
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ほまれ(プロフ) - Rainさん» ...嬉しすぎて泣いちゃいます...。少しずつですが、夢主ちゃんと共に成長していけたらと思っています。これからもよろしくお願いします* (2020年7月4日 0時) (レス) id: 6e3f4d506b (このIDを非表示/違反報告)
Rain - 好きです!!夢主ちゃん好き………ほまれ様の文才能力分けて欲しいです〜 (2020年7月3日 23時) (レス) id: 3d2006b17f (このIDを非表示/違反報告)
ほまれ(プロフ) - ミクさん» ありがとうございます*沢山楽しめるように頑張って書き進めて行きますね! (2020年6月28日 21時) (レス) id: 6e3f4d506b (このIDを非表示/違反報告)
ミク - ほまれさん、頭良い!すごい。 (2020年6月28日 21時) (レス) id: 1e828f9e08 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほまれ | 作成日時:2020年6月28日 10時

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