自由になりたいと思うのはいけないことですか？

1頁 ページ2

桜の季節も終わり
初々しかった雰囲気も薄れてきた5月。
私、瀬川 Aは
今日からこのかもめ学園の生徒になりました。

土｢では、私が呼んだら入ってきてくださいね｣

転校生へのお決まりの台詞を最後に教室へ
入っていった土籠先生。
こういっちゃなんだが、
割とパンクな見た目のくせして
気の弱そうな印象だ。
窓ガラスに映る自分をじっと見つめる。
白いブラウスにグレーのワンピース
薄水色のカーディガン。

卒業まで1年もないので、制服は前の学校のままで
いいと自分から申請した。
とはいえど、やっぱり慣れるまでは浮いてしまいそうで少し後悔していたりするのも事実。

そうこうしているうちに先生に呼ばれた。
教室に入ると、クラスメートからの痛いほどの視線。
目を逸らして黒板に名前を書く。
そして、ぱんぱんとチョークの粉を払い向き直った。

「瀬川 Aです。よろしくお願いします。」
第一印象は大切だと言うけれど、
こうも視線の集まった状態ではそうもいかない。
そもそも、元より笑ったりしないのだ。
それでもなるべくと、ぎこちない笑顔は
浮かべられたに違いない。
そうして、そのまま指定された席に座った。
窓際1番後ろの特等席。
前の席には金髪の男の子。
(この子にはあまり関わらないでおこう、、)

程なくして授業が始まった。

私はここで平和に過ごしていけるのだろうか。

2頁→←生徒手帳

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す