記、贈り物は桜色。 ページ14
幸「もー、強情だなあ」
貴「あんたもね！」
さっきから、離せ、離さない、の応酬で。
私の手の中の小箱は、所在無げに肩を縮めているようで。
貴「ぅぁわっ！？」
ごそ、と、精市が動いて、妙な悲鳴が迸る。
無論、私の口から。
かくん、と下に引っ張られる力が加わって、私は心もとない浮遊感に見舞われ、思わず、お腹の前に回っていた精市の腕に縋った。
落ちる、なんて、思ってしまって。
なのに、思っていた衝撃はやってこず、代わりに、ぽすっ、と、柔らかに草の上に着地。
幸「…さて、捕まえた」
精市に、後ろから抱き締められている。
その事実は変わらないものの。
貴「び…びっくりさせるな！！」
私たちは2人、花園に座っていた。
座った精市の足の間に、私がいる、っていう状態。
私の首元を、精市の髪がくすぐる。
幸「…手、離したくなかったから」
思いの外耳のすぐそばで聞こえた声に背筋がぴんと伸びる。
幸「だけど、それ、早く開けてほしくて、仕方なく手、離したけど、…なんだか、嫌だったから」
精市の声はそこまで低くはないはずだ。
なのに、まるで熱に浮かされたかのように、私は動けなくなる。
貴「…っあー、もう、わかったよ！ このままの姿勢で開けりゃいいんでしょ！」
幸「そういうこと」
なんて、敗北宣言をしてしまうと、その瞬間に、嬉しそうに跳ねる精市の声。
なんだかもう、どうにでもなれ！ と、半ばやけっぱちで箱を開けた。
貴「…ネックレス？」
華奢な銀の鎖に通された、小さな花のモチーフ。
天然石らしきそれは淡い薄紅…いや、桜色。
幸「うん。この間、ガーネットを買ってくれただろ？ それ見てて思ったんだ。A、天然石好きなんだなって」
そりゃまあ好きだけど…。
幸「石言葉とかにも詳しかったからね」
そう言いながら、精市は小箱からネックレスを取って、私の首に回す。
恥ずかしいが好きなようにさせてやろうと、私はされるがままだ。
多分、止めたって聞く奴じゃないし。
幸「これね、小さいからわかりづらいかもしれないけど、ジャスミンのモチーフなんだって」
貴「へー…。でも石はローズクォーツでしょ？」
幸「流石だね。…ちなみに、石言葉は？」
…恥ずかしいから言わなかったんだが。
でも、言って、とばかりの視線を背後に痛いほど感じる。
貴「………“愛”と、“優しさ”」
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かるぴん(プロフ) - とても面白くて一気読みしました！ (2021年3月15日 2時) (
レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - デカ奈さん» わああありがとうございます！！ 作者の都合で更新ガタ落ちしてすみません！！ 幸村君！ もっとがんばって！！！( (2015年3月19日 7時) (レス) id: f85a5f48fd (このIDを非表示/違反報告)
デカ奈(プロフ) - ゆっきーに……ゆっきーに……！ああ…！！←面白すぎて二度読みしました。そしてなんと言ってもゆっきーが……ああ…！！←1日過ぎちゃいましたけど、誕生日おめでとう！椿さんこれからも楽しみにしてます！ (2015年3月6日 3時) (レス) id: 6e91fdd91f (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ミッキーさん» 今後も幸村君にベタベタに甘やかされていくのではないかと…思います(私の精神がもつかぎり) 今後もよろしくお願いします！ (2015年2月15日 11時) (レス) id: f85a5f48fd (このIDを非表示/違反報告)
ミッキー - 幸村君に愛され過ぎて夢主が羨ましすぎます！あぁ入れ替わりたぃ (2015年2月1日 16時) (レス) id: 60f2124a2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椿 | 作成日時：2014年11月17日 19時
