友と、かるたと、青春と。 (ページ27)

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部長命令！ページ27

平side

岸「あと2回勝てば優勝？」

神「でも1回負けたら終わりだろ。」

「気をつけていかないと」「オーダー順で俺ら3人が取りこぼししないようにさー」と岸くんとジンは熱心に作戦会議をしている。

「次当たる高校は、1人だけ超強い子いるよ！」と海人が記録していたメモを見せた。

神「じゃあ、そいつを廉と当たるようにしてさー」

「そこまでオーダー読めねーよ。」と俺がご飯をガツガツ食べていると、廉が急に席を立った。

「あの、俺…

今日はもう、帰ってええかな。」

は…！？

廉の一言に「えっ！？」とメンバー達は揃って目を丸くした。

海「何言ってんの、廉！」

岸「帰っていい訳ねーだろ。」

「だって、俺がおらんくても勝ち星は足りてるし…。1勝もできへんし。」と下を向く廉。

「あ、なんだそんな事。別に気にしなくても…」と海人が言いかけると「1勝できたからって調子乗るなや！」と海人を睨む廉。

「え…」と海人が傷ついた表情を見せ、「おい、なんだそれ、廉。」とジンも席から立ち上がる。

「海人も楽しそうやけどさ。この大会に出る為の数合わせなんやろ。誰でもよかったんや！海人やなくても！俺やなくても！」と廉は涙目になりながら言い張った。

「違うよ、廉…。」と俺が眉を顰めると「違わないやろ。大会で会いたいやつがおんねんやろ？玄樹やろ？紫耀、その事ばっか考えてるやん！！」と廉は目を赤くして俺を見つめた。

定期試験も近づいているし、とにかく今日はもう帰る！と席を離れる廉を岸くんが低い声で「廉、待てよ。」と引き止めた。

その低い声色で俺らは、岸くんが怒っていると分かった。廉は、ビクッとした。

「次の試合は休んでいい。決勝戦は出ろ。部長命令だ。」

いつもの優しい岸くんはいなかった。いるのは、キリッとした面持ちのカッコいい部長である。

トーナメントが始まるから来て下さいと主催者の方に呼ばれた。

「よし、行こう。」と岸くんが部屋から出る。「待ってよ、岸くん！廉にも次出てもらおうよ！」「海人、廉もあんなんじゃ無理だろ。」とジンが必死な海人を止める。

「廉が悪いんじゃない。俺らさぁ…試合の時、個人戦の気持ちでいる…まだ完全にチームになりきれてないんだよ！！」

岸くんの言葉が、全員の心にグサリ。
とにかく次勝って決勝行く。廉とまた一緒に戦うためにね！と強気な部長に続いて俺ら4人は試合に挑んだのだった。