友と、かるたと、青春と。 (ページ23)

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車内で…準備してますッ！ページ23

平side

「ジャガイモ…？」と紫耀以外の全員が首を傾げた。

平「うん！イメージイメージ！ジャガイモって思い込めば、緊張しないでしょ？」

永「フフッ！紫耀らしいな。参考にするわ！」

「ところで、廉。そのマフラーどうしたの？」

廉の変化にいち早く気づいた海人が、話題を変えた。

岸「廉がマフラーつけてるのあんま見ないから珍しいよね！！」

神「さては…この赤色のマフラー、好きな女の子からもらったな？」

　
えぇっ！マジで！？だれ！？どんな子？とメンバーから質問攻めされる廉。

「ええやろ！このマフラー、やんちゃな子から貰ってん。」と廉は自慢げに言いながら、さりげなく紫耀に目配せした。

「やんちゃっちゃー。」と海人が呟き、「いいなー！俺も青春してぇーー！！」と岸くんが叫ぶ。その後ろで紫耀は必死に笑いを堪えていた。ジンはそんな紫耀を見て「あっ(察し)」という顔をしたのだった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

大会当日。

早朝、顧問の先生が大型車に乗せてくれた。

俺が窓際に座り、その隣には廉が座った。
その後ろは海人、岸くん、ジンの3人席。

岸くんと海人は2人で恋愛ドキュメンタリーを観て、ジンは音楽を聴き、俺達の袴を抱えながら爆睡。廉は自分で作った百人一首用のメモを見ながら、うつらうつらと舟を漕いでいる。
　

俺は窓に肘をつき、ただぼーっと流れる景色を眺めていた。

出発して1時間くらい経っただろうか…。なんだか肩が重いなと思ったら、廉が俺の肩にもたれかかって寝ていた。

ふと見ると、廉の手からメモ帳が脱走しそうになっていたので、捕獲。

平「あっぶねー。…ん？」

廉のメモ帳をチラッと見てみると、俺がアドバイスした事や百人一首のルール、目標などがびっしり。

(廉、すげ〜。努力家だなぁ！俺にはできん。)

俺は感動した！！廉は、あどけない顔をしながら俺の肩に寄りかかって眠っていた。廉のメモをこっそり全ページ読んでから、おまじないで落書きを書いてあげた。ありがたく思えよ！

車がバックする時の『ピー・ピー・ピー』という音が聞こえて、目が覚めた。廉の寝息につられて、いつの間にか眠ってたみたい。

先生は俺達の乗る車を駐車場にとめて、振り返って俺の方を見た。

「平野、お前すごいな。」

平「えっ？」

「いや、肩もたれかかってきたら、俺だったらウザくて振り払うけど…平野は優しいなぁ。」

え…？何でだろ、嫌だとか全然思わなかったなぁ…