友と、かるたと、青春と。 (ページ6)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:33,894 hit

きっかけページ6

平side

永「ちょっと待ってや！俺、まだ体験入部やから！入るなんて言ってないって…！」

平「まぁまぁ、廉。大会まであと100日ぐらいあるから、余裕だって！」

永「出る気満々やん！！俺、かるたのこと何も知らんから！！」

岸「おぉ、知らないの？のびしろじゃん！！」

確かに楽観的に考えると、のびしろなのか？一体何なんだ、この人達…？と廉は首を傾げた。

岸「海人、おいで。俺が教えてあげようじゃないか！」

海「岸くん、何？その上から目線…。」

平「廉、心配すんな。俺が一から教えてやる。」

俺は紫耀に手を引かれ、かるたとにらめっこすることになった。

平「まずは、そうだなぁ…。決まり字、覚えよっか！！」

【決まり字】とは…？
「上の句」が読まれ始めてから「下の句」を取って良い事が確定するまでの先頭の数文字のことを「決まり字」と呼ぶ。句によって違い、１文字から、長いもので６文字。「上の句」はこの「決まり字」だけを覚えれば良いのダ！！

平「自陣は札25枚を3段に好きなように並べるの。3段のそれぞれの間隔は1センチ。えっと1センチって何センチだ？」

永「紫耀…1センチは1センチやで。」

紫耀は廉に、決まり字や札の並べ方など初歩的な事を教えながら、過去の事を思い出していた。

昔、紫耀がかるたを好きになったきっかけ…それは、ある人だった。

それは、中学の頃…
一緒に遊んでいたメンバーに玄樹がいた。

最初に会った時は、女の子みたいに可愛くて…かと思ったら、かるた好きって言うから家行ってかるた取るとこ見たら、バシッと取っててその姿がカッコよくて男っぽくて…。

俺はそんな玄樹に、かるたに、一目惚れしたんだろう。

玄樹どこ行きたい？何がしたい？って、会えばいつも玄樹を優先した。

玄「かるたしたい！！」

神「玄樹はいつもそれだね！ま、分かってたけど！」

海「また、かるた！？俺、玄さんに勝てないんだけど！」

永「俺は…見とくわ。」

いざ、かるたが始まれば、そこは俺たちだけの世界っていうか…空間ができた。

初心者だったけど、だんだんと成長して強い玄樹と引き分けになったり、数枚差で負けたり。

平「うぁぁ〜、悔しい！！」

玄「紫耀、惜しかったねっ！」

悔しい！勝ちたい！という気持ちが日に日に強くなっていった。1番強い玄樹より速く札を取れた時は、めっちゃ嬉しくて。

そんな時、別れは突然やってくる。玄樹が転校する事になったのだ…