会長様と犬☆★☆★ (ページ47)

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永side

「優斗、大昇、こないだの借りたるわ。」

廉は後輩を連れて図書室に来ていた。

「ありがとうございま……廉くん！2冊でいいっすよ！？」

図書室の受付に本が乱暴にドサッと置かれた。

「貸出。この本…いや、この図書室全部、賭ける。どうや？」

「廉くん！？」
「何言ってるんすか！？」
優斗と大昇が慌てて止めに入る。

「だめばい。貸出15冊までやけん。でも、さすが会長の犬さん。…よかですよ。」

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ジャンケンで廉は後攻。生徒達がギャラリーとなって、廉と委員長の周りを囲んだ。

先攻、委員長。華麗な手さばきでサイコロをカップに入れていく。

カップを開けると、やっぱり4つのサイコロが縦に積み上がっていた。

「ここの本は全部で500冊。借金5000万円。ビビっとーと？」

委員長は笑顔で言った。廉が負ければ、廉の借金5000万。委員長が負ければ、廉は本を借りれる…。

「ビビってるのはそっちやない？図書室に来るんは大体ギャラリー。借りる奴は少ない。何でやろ？」

見にくる生徒は多くても、実際に賭けて借りる人は少ないのだ。

「この賭けのせいやない？普通は簡単なギャンブルするやろ…これは技術がいる。不平等やと思わん？」

「そうだそうだ！！」
「廉くん！図書室を奪っちまえ！！」
周りは賛同してブーイングの嵐。

「やぜか。」
委員長は呟いた。"やぜか"は長崎弁で"うざい"だ。

廉は紫耀に教えてもらった事を思い出して、サイコロを素早くカップに入れた。
(お願いや！4段来い！！)

そっとカップを開けると…4段積み上がっていた。

後輩2人はガッツポーズをした。上のサイコロの数字は最大の6。さっきの委員長は5。

「あっぶねー。」

廉は安心して息をついた。

「いやあぁぁ！私の図書室がぁぁぁ！」

委員長は崩れ落ちた。

ほらよ！と廉は後輩達が借りたかった漫画を渡した。

「廉くん、ありがとうございますっ！！」
「めっちゃカッコいいっす！！」

後輩の優斗、大昇に大絶賛される廉。

「委員長。やっぱ5000万と図書室はいらん。返すわ。」

「欲しいのは、紫耀がこの図鑑に置き忘れたこの1万円札やから！」

図鑑から1万円札を抜き取り、廉は生徒会長室へ向かった。

それから、図書室での貸出で賭けるルールやダイススタッキングは無くなり、借金関係なしにみんなで楽しくギャンブルできるようになり、図書室に来る人も増えたのだった。