久し振りの、 ページ7
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2人とも、しばらく何も言葉を交わさず歩いていた。
スニョンの背中を見つめながら帰る。
ねぇ、スニョン。
ソウンちゃんには何を言われたの?
どんな話をしたの?
どうして、何も言わないの?
いろんな憶測が浮かんでは消えていく。
スニョンの背、高いなぁ。
いつのまに、こんなに大きくなったんだっけ。
小さいときは私のほうが大きかったのに。
どんどん変わっていくんだね。
私たちの関係もこのままどんどん変わっていってしまうのかな。
スニョンが、急に立ち止まった。
「スニョン?どうしたの?」
「A!俺の前歩いて!」
「え、なんで」
「なんとなく!」
「えー…」
「いいから、早く!」
スニョンに急かされるままにスニョンの前に出て、ぎこちなく、歩き出す。
…こんな風に、スニョンの前を歩くのはいつぶりだろう。
ずっと、その後ろ姿や横顔を眺めていたから、前を歩くのはなんとなく緊張してしまう。
スニョンの足音が後ろから響いて、それだけが私とスニョンを繋いでいるものみたいだった。
「なぁA」
「なに?」
「あそこって何かあんの?ウォヌとさっきいたとこ。昨日もあっこいたじゃん」
「ああ…、猫がいるんだよ」
「猫?」
「うん、ウォヌくんって猫が好きらしくて…昨日は見つからなかったんだけど、今日は出てきて…あ、私も触ったんだよ」
「Aが?」
「うん、なんか柔らかかったし可愛かった」
「そっか〜」
猫のことを思い出すと、同時にウォヌくんとの会話を思い出してしまって少し身体が火照るのが分かった。
「A」
スニョンが改めて私の名前を呼ぶ。
振り返ると、スニョンの後ろから夕陽が射してその顔をしっかりと見ることはできなかった。
「…あ、やっぱなんでもない」
「え?」
「じゃあな、A!しっかり勉強しろよ!」
スニョンが私を追い越していく。
スニョンに意識を向けすぎて気づかなかったけど、もうあと何歩かでスニョンの家の前、ってところだったみたいだ。
「スニョンこそ…」
ぼそりと呟いた言葉はスニョンにちゃんと届いたようで、家の門を開けながらスニョンが振り返る。
そうだな!って手を振るスニョンの顔は、私の好きな、笑顔だった。
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sani(プロフ) - ぴっこりーのじみーさん» コメントありがとうございます(*^^*)ウォヌにドキドキしていただけて嬉しいです!私も書いてるあいだ、とても迷いました( ; ; )読んでくださりありがとうございました! (2020年12月12日 8時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
ぴっこりーのじみー(プロフ) - だめだ、、、スニョンの話なのに推しのウォヌにドキドキしてしまう。あー、感情が。何とも言えない(´・ω・`)w (2020年12月9日 5時) (レス) id: 67de14ac92 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - ひなのさん» ありがとうございます!そのお言葉がとっても嬉しいです(*^^*)最後まで読んでいただきありがとうございました( ; ; ) (2020年10月26日 20時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
ひなの(プロフ) - 素敵すぎてもーきゅんきゅんが止まらなかったですTT涙出ちゃいました!! (2020年10月25日 21時) (レス) id: ede454b4f6 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - オタクさん» コメントありがとうございます!Happy Endingリリースの発表の前に完結したお話なのですが、そのように言っていただけて本当に嬉しいです(*^^*)そして身に余るお言葉ばかり…ありがとうございます( ; ; )最後まで読んでいただき、ありがとうございました! (2020年8月7日 20時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sani | 作成日時:2018年9月10日 20時