青空を仰ぐ鳥 ページ45
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「…緊張してる?」
タクシーの中、スニョンが小さく呟いた。
「うん、今までのどんな試験よりも難しそう」
「あはは、大袈裟だろ」
「大袈裟なんかじゃないよ」
「まぁ大丈夫だって」
「なによ、それー」
タクシーを降りて目的の場所に向かう。
扉を開けて、一番最初に私の目に飛び込んできたのは、純白のドレスだった。
「A」
隣で固まったままのスニョンが口を開く。
「ん?」
「…実は、俺もめっちゃ緊張してる」
「うん、知ってる」
「Aは何でも知ってるな」
「当たり前じゃん、何年一緒にいたと思ってるの」
……スニョンに想いを伝えてから、数年。
あれから色んなことがあった。
穏やかに、緩やかに時間が進んでいったわけじゃない。
だけど、私たちはなんだかんだ言いながらも一緒に過ごした。
性懲りも無く、私はずっとスニョンが好きで、スニョンはいつも私の側にいた。
私たちが生きてきた中で、幼馴染として当たり前だった"それ"が、恋人として当たり前になっていった。
丁寧にメイクを施されて、白いドレスに身を包むと、きゅ、っと身が引き締まる。
過去の様々なことを思い出して、なんだか泣いてしまいそうだった。
「なぁ、A」
メイク直しをされている私の後ろで、ソファに座って白い手袋を振り回すスニョンが鏡に映る。
「んー?」
「言っただろ?側にいるって。これで信じてくれる?」
「いや、ここゴールじゃないし。これから先の人生の方が長いんですけど…」
「やー、やっぱお前ひねくれてんな!」
スニョンが真上に投げた手袋が、まるで鳥のようだと思った。
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sani(プロフ) - ぴっこりーのじみーさん» コメントありがとうございます(*^^*)ウォヌにドキドキしていただけて嬉しいです!私も書いてるあいだ、とても迷いました( ; ; )読んでくださりありがとうございました! (2020年12月12日 8時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
ぴっこりーのじみー(プロフ) - だめだ、、、スニョンの話なのに推しのウォヌにドキドキしてしまう。あー、感情が。何とも言えない(´・ω・`)w (2020年12月9日 5時) (レス) id: 67de14ac92 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - ひなのさん» ありがとうございます!そのお言葉がとっても嬉しいです(*^^*)最後まで読んでいただきありがとうございました( ; ; ) (2020年10月26日 20時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
ひなの(プロフ) - 素敵すぎてもーきゅんきゅんが止まらなかったですTT涙出ちゃいました!! (2020年10月25日 21時) (レス) id: ede454b4f6 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - オタクさん» コメントありがとうございます!Happy Endingリリースの発表の前に完結したお話なのですが、そのように言っていただけて本当に嬉しいです(*^^*)そして身に余るお言葉ばかり…ありがとうございます( ; ; )最後まで読んでいただき、ありがとうございました! (2020年8月7日 20時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sani | 作成日時:2018年9月10日 20時