ハッピーエンドなんていらない 2

果てしない夏 ページ42

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「おう、A」

「げ」


玄関のチャイムが鳴って、扉を開けるとスニョンが立っていた。


「げ、ってなんだよ」


あれから3日。

スニョンからのメッセージも電話も無視して、お母さんにもスニョンをうちに上げてくれるな、と言っていたのに。


スニョンの訪問を、自分で出迎えてしまうなんて…。


手が離せないから出て、って言ったお母さんとスニョンはもしかしたらグルだったのかもしれない。



「A、出かける準備しろ！海行くぞ！」

「へ、どうやって…」

「いいから早く！」


スニョンに急かされるまま準備して、外に出る。


…あれ？

これ私、拒否すれば良かったんじゃない？



ずっと昔からスニョンからの誘いは断ったことがない。

私が断れないってことをスニョンはきっと知っているのだ。


ニコニコ笑っているスニョンに溜息を吐いた。


「…で、どうやって行くの？」

「まぁいいから乗れって」

「……これで？」


スニョンの後ろ手にある自転車を指差す。


「や、無理に決まってんじゃん！海って…どこにあるか知ってる？！」

「まぁまぁ…」


スニョンは肝心なことは一つも言わず、私に自転車の後ろに乗るように促してくる。


もう何かを言うのも考えるのも諦めてそれに従うことにした。





スニョンと一緒に自転車に乗るのも久しぶりだなぁ。


あの頃とは見える景色も、スニョンの後ろ姿も違うなぁ。




夏の風が抜けていくスニョンの後ろで、そんな当たり前のことをぼーっと考えた。




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