ハッピーエンドなんていらない 2

一緒に帰ろう ページ5

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「分かってるから、大丈夫。そうやって簡単に揺らがないとこも好きだし」

「え…」

「だから泣くな。別に、すぐにどうこうなるって思ってるわけじゃない。俺も諦める気、ないから」

「うあ、」


ウォヌくんの言葉に、思わず変な声が出てしまった。


「なんだよ、それ」


ウォヌくんがふ、と笑う。

その笑顔に、また涙が出た。


「あー、おい、なんで泣くんだよ」

「…やっぱりウォヌくんはすごい。…魔法使いみたい」

「猫使いの次は魔法使いなわけ？」


呆れ顔のウォヌくんを見て、今度は笑みがこぼれた。


ウォヌくんは、すごい。

一瞬で、私の気持ちを軽くしてくれる。



ウォヌくんの気持ちに答えられない自分が、本当に…


「自分を責めるなよ」

「へっ……、心まで読めちゃうの？」

「俺って何者？」


ウォヌくんが笑いながら、私の頭を優しく撫でた。





後ろ手に、アスファルトと靴が擦れる音が響く。


「A」



私を呼ぶ声。

間違えるはずのない、


スニョンの声。




隣にいたウォヌくんが、ゆっくり立ち上がった。


私もそれにつられるように立ち上がる。



昨日と同じような状況。

振り返るのが、怖い。



気付かれないように息を深く吸い込んで、足の向きを変えた。




「…スニョン」




隣に、ソウンちゃんの姿はなかった。



2人でどんな話をしたんだろう。

スニョンは、私に怒っているだろうか。


何を、言われるんだろう。



また重くて苦しいものが、私の心に影をつくる。






「A、帰ろう」

「へ、」



ぐっと身構えていたのに、スニョンから聞こえたのは今までと何ら変わらない言葉だった。





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