ハッピーエンドなんていらない 2

刺さったままの ページ27

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［返せたよ］


それだけの短い文章をウォヌくんに送る。


きっと明日学校で会ったら、ウォヌくんのことだから、すぐに気がつくんだろう。


でもなんとなく、ウォヌくんにはその前にちゃんと言わなくちゃ、と思った。



それでも散々悩んで、送った言葉はこの一言だけなのだけれど。



スマホを持ったまま、ベッドに身体を預けた。



すると、すぐに右手のスマホが音を立てる。




ブーッブーッと長い振動に、飛び起きた。



「え、電話…？！」


電話は勿論ウォヌくんからで、突然のことにスマホを落としそうになる。

あ、やばい、出なきゃ。


震える手で、通話ボタンを押した。


「…も、もしもし」

『あ、ごめん、忙しかった？』


言葉が一拍出遅れた私に、ウォヌくんが申し訳なさそうな声を出す。


「あ、いや、全然。ごめん、びっくりして」

『あー、ごめん。なんかメッセージのやり取りって苦手で』

「ううん、いいの。気にしないで。私もいきなりごめんね、」

『うん、あー、それはいいんだけど、A』

「ん？」

『…あー……いや、なんか俺から電話しといてアレなんだけど、こういうとき何て言ったらいいか分かんないな』


いつも聞く声とは少しだけ違うウォヌくんの声。

ふ、と息が漏れた。


「あのメッセージだけで私が何が言いたいか分かったの？」

『うん、まぁなんとなく』

「すごいね、ウォヌくんは。やっぱエスパーなのかな」

『うーん、本当にそうだったらいいけど。こういう時、相手が求めてる言葉が分かったら便利だし』

「あはは」


ウォヌくんの言葉に笑ってしまう。

それだけで、なんか、気持ちが軽くなってるような気がした。


「ウォヌくん、ありがとう。なんか、元気出た」

『…A』

「なに？」

『夏休みは、どこ行こうか』

「ええ？いきなりだね」


ウォヌくんの唐突な話ぶりに、また笑ってしまった。



心にちくちく刺さったままの棘は、なかなか抜けないけど、それでもしっかり前を向かなくちゃ。



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