ずれた積み木 ページ24
.
.
「やつれてる」
「へっ？！」
放課後の図書室でぼーっとしているところに聞こえてきた声にハッとする。
「あ、ウォヌくん」
「疲れてるな。スニョンとのこと？何かあった？」
「……何も」
「え？」
「何もないの」
あれから、少し時間が流れた。
朝も一緒に学校に行くし、放課後は一緒に帰る。
赤点は逃れた〜！と嬉しそうなスニョンや、クラスであったこと、部活であったことを話すスニョンは、前と、何も変わらない。
「何か……あれ、もしかして気持ち伝えたの夢だったのかなってくらい何もないの、普通なの」
「へえ……じゃあ夢だったんじゃない？」
ウォヌくんがふっと笑う。
…そんな筈ないのは、ちゃんと私だって分かってる。
通学カバンと一緒に置かれた紙袋に目をやった。
スニョンのキャップ。
ずっと、返せないでいる、あの日のスニョンのキャップ。
それを返してしまったら、わざわざあの出来事を掘り返してしまうようだったから。
返してしまったら、スニョンの口から答えが出てきてしまうような気がしたから。
「Aがそれで良いなら、良いんじゃない？このままでも」
ウォヌくんの口から流れる言葉は、心地よくて、とても痛い。
「だけど、いつかは返さないとな。それ」
ウォヌくんが紙袋を指差す。
本当にこの人、怖いなぁ。どこまで見抜いてるんだろ。
心の奥ではちゃんと分かってる。
…逃げてても意味がない。
何も変わっていないわけない。
どこかで、小さな違和感が積み重なっていくのを感じてる。
……このままいても、いつか、崩れてしまう。
真っ直ぐ視線を合わせた私に、ウォヌくんが優しく微笑んだ。
「いつでも、話聞くから」
ウォヌくんの言葉が、胸にジンと染み込んだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1228人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sani(プロフ) - ぴっこりーのじみーさん» コメントありがとうございます(*^^*)ウォヌにドキドキしていただけて嬉しいです！私も書いてるあいだ、とても迷いました（ ; ; ）読んでくださりありがとうございました！ (2020年12月12日 8時) (
レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
ぴっこりーのじみー(プロフ) - だめだ、、、スニョンの話なのに推しのウォヌにドキドキしてしまう。あー、感情が。何とも言えない(´・ω・`)w (2020年12月9日 5時) (レス) id: 67de14ac92 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - ひなのさん» ありがとうございます！そのお言葉がとっても嬉しいです(*^^*)最後まで読んでいただきありがとうございました（ ; ; ） (2020年10月26日 20時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
ひなの(プロフ) - 素敵すぎてもーきゅんきゅんが止まらなかったですTT涙出ちゃいました！！ (2020年10月25日 21時) (レス) id: ede454b4f6 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - オタクさん» コメントありがとうございます！Happy Endingリリースの発表の前に完結したお話なのですが、そのように言っていただけて本当に嬉しいです(*^^*)そして身に余るお言葉ばかり…ありがとうございます（ ; ; ）最後まで読んでいただき、ありがとうございました！ (2020年8月7日 20時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sani
| 作成日時：2018年9月10日 20時
