君の知らない ページ22
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バスで通学してくる子たちが一斉に到着したのかもしれない。
ザワザワと、騒がしくなってきた廊下に目を向けると、ウォヌくんの手が離れた。
スカートのポケットの中で、スマホが揺れるからおもむろに取り出す。
「あ……」
「なに?」
スマホを見て動きを止めた私にウォヌくんが問いかけた。
「あ、いや、えっと…スニョンからメッセージ」
「なんて?」
ロック画面に表示されたままのスニョンのメッセージを少しだけ見つめた後、ウォヌくんにも見えるようにスマホを傾けた。
[A!お前なに先に学校行ってんだよ〜]
なんの変哲もない、ただそれだけのメッセージ。
だけど、あんなことを言ったあとだから、そのメッセージにはすごく違和感があった。
「…なんか……これ、私、どう受け取ったらいいんだろ」
「そのままの意味だと思うけど」
ウォヌくんに視線を向けると同時に、教室には流れるようにクラスメイト達が入ってきて、その流れに押されるがままに自分の席に辿り着く。
ウォヌくんも自分の席に戻ったみたいだった。
教室の端の方で「ええっ?!」と声が上がる。
その中心にはソウンちゃんがいて、ソウンちゃんが目元を押さえている姿が目に入った。
女の子だけじゃない。
男の子も周りに集まっていく。
ああ、スニョンの話だな、って思った。
スニョンの知らないところで、こうやってきっと誰も知らないスニョンが作り上げられていく。
それは、きっと仕方のないことだし、気にしていてもキリがない。
まして、私がどうこうできることでもないのだけど。
ふと顔を上げたソウンちゃんと目が合って、思わず顔をそらしてしまった。
手に握ったままだったスマホがまた揺れる。
[放課後は先帰んなよ!]
ロック画面に表示された新しいスニョンからのメッセージを見て、溜息が出る。
メッセージアプリを立ち上げることができないまま、鞄の奥にスマホをしまった。
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sani(プロフ) - ぴっこりーのじみーさん» コメントありがとうございます(*^^*)ウォヌにドキドキしていただけて嬉しいです!私も書いてるあいだ、とても迷いました( ; ; )読んでくださりありがとうございました! (2020年12月12日 8時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
ぴっこりーのじみー(プロフ) - だめだ、、、スニョンの話なのに推しのウォヌにドキドキしてしまう。あー、感情が。何とも言えない(´・ω・`)w (2020年12月9日 5時) (レス) id: 67de14ac92 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - ひなのさん» ありがとうございます!そのお言葉がとっても嬉しいです(*^^*)最後まで読んでいただきありがとうございました( ; ; ) (2020年10月26日 20時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
ひなの(プロフ) - 素敵すぎてもーきゅんきゅんが止まらなかったですTT涙出ちゃいました!! (2020年10月25日 21時) (レス) id: ede454b4f6 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - オタクさん» コメントありがとうございます!Happy Endingリリースの発表の前に完結したお話なのですが、そのように言っていただけて本当に嬉しいです(*^^*)そして身に余るお言葉ばかり…ありがとうございます( ; ; )最後まで読んでいただき、ありがとうございました! (2020年8月7日 20時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sani | 作成日時:2018年9月10日 20時