もう絶対に * ページ43
【ウジside】
.
夢なのかと思った。
自分につくづく都合の良い夢。
だけど、その手があたたかくて、現実なんだと気づく。
こんな日が来るのをずっと願っていたけど、心のどこかで叶うわけないと思っていた。
Aに繋がれていない方の手で、その柔らかい頰に触れる。
くすぐったそうに顔を歪めるAを見つめた。
「…A」
「ん?」
「もう、逃げない?」
「え?なにそれ」
「だっていつも肝心なときに逃げられるから」
ぶっ、とAが吹き出す。
「あはは!ごめん!もう逃げないよ」
Aの笑顔に、心の何かか満たされるような気がして、頰を触った手をAの後ろにスライドさせる。
そのままこっちに引き寄せて、きつくきつく抱きしめた。
Aの気持ちが離れていってしまわないように。
Aがここにちゃんと存在しているのを確認するように。
「う、ちょ、」
耳元でAの間抜けな声が漏れる。
「ちょっと!ジフナ!痛い!」
その声に腕の力を緩めた。
少しだけ離れてAの顔を覗き込むと、気まずそうに目を逸らされる。
「おい、ちゃんとこっち見ろ」
「いや、ちょっと近すぎ…離れて」
「嫌だ」
「あんたねぇ!」
「おい、馬鹿、」
Aがジタバタと動くから、その動きを制するようにキスをした。
唇を離すと、ピタッと動きが止まったAと目が合う。
みるみるうちに赤くなっていくAを見て、俺も吹き出してしまった。
ああ、こんな幸せな日が来るなんて。
もう絶対に、離してなんかやらない。
ここまで我慢してたんだ。
俺の好きにさせてもらう。
遠慮なんかもうしない。
やっと、
やっと振り向いてくれた。
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sani(プロフ) - ミヌさん» わあ、ありがとうございます( ; ; )嬉しいです!読んでくださり、ありがとうございました!! (2021年4月9日 6時) (レス) id: a75bf160ab (このIDを非表示/違反報告)
ミヌ(プロフ) - 感動しましたTT大好きです。 (2021年4月9日 4時) (レス) id: 8612cef835 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - まろにゅきさん» うわぁ〜なんて嬉しいお言葉!!ありがとうございます( ; ; )とっても嬉しいです!ああすれば良かったこうすれば良かった、と今になって思ったりもしますが、そう言っていただけて本当に良かったです(*^^*) (2020年6月25日 0時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
まろにゅき(プロフ) - saniさんの小説はスッと入り込めて読みやすくて、綴られる言葉もすごく好きです(^^)私はスンチョルもウジくんも好きだからこのお話、ドキドキしました! (2020年6月24日 18時) (携帯から) (レス) id: 36bf00294b (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - ゆずさん» こコメントありがとうございます!文庫本無限とは!このお話は私なりに書くの楽しかったので、すごく嬉しいです(*^^*) (2018年9月30日 7時) (レス) id: f23e3c8ef3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sani | 作成日時:2018年6月22日 19時