決意の代償 ページ4
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11月22日。
ジフニの誕生日…。
ふと、少し前の会話を思い出した。
..
「あ、ジフナ来月誕生日じゃん。何かいる?」
「何かくれんの?」
「しがない会社員でも買えるものであれば」
「…あーいや、何もいらない」
「えー?なんでよー」
「んーじゃあ、おめでとうって言ってくれたらそれでいいよ」
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..
パソコンに向き合って、私に背中を向けたままジフニはそう言った。
欲のないやつだなぁ、って笑ったのを覚えてる。
忙しさにかまけて、すっかり日にち感覚を失っていた。
もう誕生日も終わろうかという時間だ。
「あー、なんで…」
このタイミングで。
ジフニとする、何でもない会話が好きだった。
女友達とは違う、他の誰とも違う。
独特な空気感で、2人でいるのが楽だった。
それは、ジフニも同じだったって信じたい。
もうこれで終わり?
あの頃にはどう足掻いても戻れない?
左手に持ったままのスマホを握りしめた。
…ああ、
もう腹が立つ。
すっきりしない毎日と、ウダウダ悩んでいる自分に。
頭の中で、何かが弾けた。
気まずさよりも、ジフニに会えなくなるほうが、もっともっともっと嫌。
メッセージアプリを立ち上げる。
自分勝手でごめん。
私のの気持ちを優先させてごめん。
だけど、2人の関係がなかったことになるのだけは嫌なの。
〔誕生日おめでとう!〕
すごい速さで文字を打って、送信ボタンに親指を伸ばす。
親指が震えている。
「…どうにでもなれぇ!」
自分を奮い立たせるように大きな声を出して、勢いに任せてボタンを押して、スマホをデスクに伏せた。
他の人の視線が痛い。
心はよく分からない感情で揺れている。
送ってから1分も経たないうちに、スマホの着信音が鳴った。
震える手でスマホを取る。
見つめた先には。
" イ・ジフン " の文字。
「ぎゃ!」
今日何度目かの視線を向けられた。
…あーもう絶対変なやつだって思われてる。
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sani(プロフ) - ミヌさん» わあ、ありがとうございます( ; ; )嬉しいです!読んでくださり、ありがとうございました!! (2021年4月9日 6時) (レス) id: a75bf160ab (このIDを非表示/違反報告)
ミヌ(プロフ) - 感動しましたTT大好きです。 (2021年4月9日 4時) (レス) id: 8612cef835 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - まろにゅきさん» うわぁ〜なんて嬉しいお言葉!!ありがとうございます( ; ; )とっても嬉しいです!ああすれば良かったこうすれば良かった、と今になって思ったりもしますが、そう言っていただけて本当に良かったです(*^^*) (2020年6月25日 0時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
まろにゅき(プロフ) - saniさんの小説はスッと入り込めて読みやすくて、綴られる言葉もすごく好きです(^^)私はスンチョルもウジくんも好きだからこのお話、ドキドキしました! (2020年6月24日 18時) (携帯から) (レス) id: 36bf00294b (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - ゆずさん» こコメントありがとうございます!文庫本無限とは!このお話は私なりに書くの楽しかったので、すごく嬉しいです(*^^*) (2018年9月30日 7時) (レス) id: f23e3c8ef3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sani | 作成日時:2018年6月22日 19時