以前とは違う ページ6
.
「あー、あのさ」
言いかけて、言葉に詰まった。
何て言うの?
気持ちには答えられないけど、今まで通りでいたいって?
さっきまではどうなったっていいって思っていたのに、急に自分が最低な人間のように思えて言葉が続かない。
『A』
ジフニが私の名前を呼んだ。
『返事は言わなくていい、分かってるから』
「え…」
『ただ、無かったことにだけはしない』
強い意志を持った声が、スマホの向こうから聞こえる。
ジフニと私は同じだ。
私がもし、スンチョリオッパに気持ちを伝えたとして、それを無かったように扱われるのは…
ああ、痛い。
服の胸元をぎゅっと掴んだ。
「…うん」
そんなの嫌だって分かる。
『でも、今まで通りにして。調子狂うから』
「…できるかな」
『できるだろ、Aなら』
「ん?それはなんとなくイヤミに聞こえるんだけど?」
耳元でジフニの軽い笑い声が聞こえる。
心なしかジフニの声は明るかった。
『今は家?』
「いや、まだ会社。仕事してる」
『はっ?こんな時間なのに?早く帰れよ』
「わかってるよ、ジフナだってまだ事務所でしょ?」
『俺はこれから練習』
これから、か。
本当に大変だな、と小さく息を吐いた。
「…頑張って」
あの日伝えられなかった言葉ごと彼の心に届きますように。
そんな思いで呟く。
『うん、とにかくAは早く帰れ』
「ああ!もう分かってるよ、帰る」
『気をつけて。家に着いたら連絡ちょうだい』
「…あー、うん」
今までと同じような会話なのに、何かが違う。
言葉ひとつひとつの裏側に、好意が透けて見えるからなのか。
…やっぱりよく分からないけれど。
心臓を掻き乱すくすぐったさを、胸に感じずにはいられなかった。
.
700人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sani(プロフ) - ミヌさん» わあ、ありがとうございます( ; ; )嬉しいです!読んでくださり、ありがとうございました!! (2021年4月9日 6時) (レス) id: a75bf160ab (このIDを非表示/違反報告)
ミヌ(プロフ) - 感動しましたTT大好きです。 (2021年4月9日 4時) (レス) id: 8612cef835 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - まろにゅきさん» うわぁ〜なんて嬉しいお言葉!!ありがとうございます( ; ; )とっても嬉しいです!ああすれば良かったこうすれば良かった、と今になって思ったりもしますが、そう言っていただけて本当に良かったです(*^^*) (2020年6月25日 0時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
まろにゅき(プロフ) - saniさんの小説はスッと入り込めて読みやすくて、綴られる言葉もすごく好きです(^^)私はスンチョルもウジくんも好きだからこのお話、ドキドキしました! (2020年6月24日 18時) (携帯から) (レス) id: 36bf00294b (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - ゆずさん» こコメントありがとうございます!文庫本無限とは!このお話は私なりに書くの楽しかったので、すごく嬉しいです(*^^*) (2018年9月30日 7時) (レス) id: f23e3c8ef3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:sani | 作成日時:2018年6月22日 19時