渦の中から ページ11
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「Aちゃん?」
明日の準備があるジフニと別れて、事務所を出たところで後ろから呼び止められた。
「…ミヨンさん」
「ああ、やっぱり。ウジのところに行ってたの?」
「はい、まぁ…」
あれから、ジフニとはくだらない話を続けた。
心に感じる多少のぎこちなさはあったけれど、ジフニといるのはやっぱり楽しかった。
なのに、ミヨンさんの顔を見るとあの日のことを嫌でも思い出してしまう。
「私も帰るところなの」
笑うミヨンさんに聞きたいことが沢山ある。
スンチョリオッパとは食事に行ったんですか?
なんで、2人で行こうなんて言ったんですか?
ミヨンさんは…
いや、ミヨンさんも、
スンチョリオッパのことが好きなんですか?
…聞きたいことだらけなのに、うまく言葉は出てこない。
私がスンチョリオッパのことを好きでなければ、きっと何の気なしに聞けることなのに。
「Aちゃん」
「はい?」
「時間ある?」
「え?」
片想いは、厄介だ。
まるでグルグル回る渦の中に閉じ込められてる気分。
「夜ご飯食べに行かない?」
ミヨンさんがビールのジョッキを持ち上げる動作をしながら、私に聞いた。
今の私は、真実を知るのが一番怖い。
怖いくせに、心はこのどうにもならない渦の中から抜け出したいと声を上げている。
ミヨンさんの目をしっかりと見つめる。
いつまでも目を背けてはいられないから。
「はい、行きます」
スンチョリオッパも、ジフニも、この渦の中から抜け出したくてもがいているのかな。
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sani(プロフ) - ミヌさん» わあ、ありがとうございます( ; ; )嬉しいです!読んでくださり、ありがとうございました!! (2021年4月9日 6時) (レス) id: a75bf160ab (このIDを非表示/違反報告)
ミヌ(プロフ) - 感動しましたTT大好きです。 (2021年4月9日 4時) (レス) id: 8612cef835 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - まろにゅきさん» うわぁ〜なんて嬉しいお言葉!!ありがとうございます( ; ; )とっても嬉しいです!ああすれば良かったこうすれば良かった、と今になって思ったりもしますが、そう言っていただけて本当に良かったです(*^^*) (2020年6月25日 0時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
まろにゅき(プロフ) - saniさんの小説はスッと入り込めて読みやすくて、綴られる言葉もすごく好きです(^^)私はスンチョルもウジくんも好きだからこのお話、ドキドキしました! (2020年6月24日 18時) (携帯から) (レス) id: 36bf00294b (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - ゆずさん» こコメントありがとうございます!文庫本無限とは!このお話は私なりに書くの楽しかったので、すごく嬉しいです(*^^*) (2018年9月30日 7時) (レス) id: f23e3c8ef3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sani | 作成日時:2018年6月22日 19時