Love Letter 2

WZ side:掴めない ページ9

【ウジ目線】

…

そういえば、連絡先も何も知らないなーと思う。


今、Aは何してるんだろう。

まだ会社にいるかな。
あとでオフィスをのぞいてみるか？



「ジフナ？」


そんなことを考えていたら、急にAの声が聞こえてはっとする。


後ろを振り向くと、Aがほんの少し扉を開けてこちらを覗いていた。



WZ「…どうぞ」


内心は嬉しいのに、こういうとき素直に反応できない自分が悔しい。


「邪魔してごめんね、チキン買ってきたから食べて」


いつもよりも少し明るい口調でAがいう。

頰もほんのりと赤く色付いている。



WZ「ん…お酒のんできたの？」


「うん、シンとね」


WZ「ふーん。本当仲良いんですね」


ムカつく。

ただの友達だって分かっていても、
そう思う心を止められない。



WZ「なのに、戻ってきたんですか？」


「うん、ジフナに会いたくなって」


WZ「…」








…び、びっくりした。

お酒のせいなのか？




何も気にしていないような素振りで、のんきに笑いながら椅子に座ってチキンの箱を開けようとしているA。






そんなの。


WZ「…ずるい」


「え？」


立ち上がってAのもとまで数歩。


「え、待っ…」


何かを言いかけるAの口を塞ぐようにキスをした。








.
.
.








ドン、と胸を叩かれて、体を離す。


「は、バカなの…な、長すぎ」


顔を真っ赤にしながら、荒い息をするAを見て、思わず笑みがこぼれる。




WZ「連絡先おしえて」


「えぇ？駄目だよ」




いい気分で聞いたのに、帰ってきた返事は、俺を酷く落胆させる言葉。


「だって、私はスタッフだから。個人的な連絡は、取り合えない」



別に冷たく突き放されたわけじゃない。

Aは、お願いだから分かって、と目で訴えてくる。





分かってる、分かってるけど。








君の心を手に入れたと思った瞬間、そうやって、いつもするりと抜けていくなんて。



.

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