もしかして、ここは ページ23
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打ち合わせの帰り道。
すっかり暗くなった道をとぼとぼ歩く。
昨日のコンサートの熱がまだ冷めなくて、夢の中にいるみたいだ。
人通りが多い場所を避けるようにして、少し逸れた裏道を進む。
前から歩いてくる男の人が2人。
道を譲るために、距離感覚を掴もうと2人を見る。
「うわ!!」
ぎょっとして、大きな声がでてしまった。
なんで…
私の出した声に、反応してこちらを見る2人。
「シン!ミミミミ、ミンハオ…」
目の前にいたのは、シンとミンハオ。
こんな偶然って…。
SN「え?!えー!!!おい、Aか!!」
ギャハハとシンが人の顔を見て笑う。
その声に耳を塞ぎながら、ミンハオを見る。
MH「ヌ…ヌナ…」
なんだか気まずそうな顔をするミンハオ。
「びっくりした。久しぶりだね、元気にしてた?」
笑いながら話しかけると、強張っていたミンハオの顔が少しだけほぐれるのを感じた。
MH「は、い。Aヌナは…なんだか、変わりましたね」
「え?そう?」
SN「そうだよ!一丁前に化粧なんてしちゃってさ!最初誰だか分かんなかったよ」
「あぁ…一応、フリーランスでやってるからね、昔より身なりには気をつけてるよ」
SN「あ、そうだよ!仕事、どうなってんの?A全然連絡くれないから」
「…ごめん」
不義理なことだと思う。
今、ここで仕事が出来ているのはシンの紹介があったからこそ。
だけど、彼らのもとを離れたあと、シンにもなんとなく連絡がしづらくなってしまっていた。
SN「まぁ連絡ないってことは、毎日忙しくやってんだな?」
「うん…ありがとう。あ、これ!」
SN「は?!」
シンに私の名刺を渡すと、変な声をあげられる。
「ちょっとなに」
SN「お、おま、ここにiroって書いてあるけど」
何故か小声で話しかけてくるシン。
ミンハオに聞かれちゃまずいことでもあるのか不思議に思いながらも返事をする。
「そうだけど」
SN「…ショックだ」
「なにが」
SN「iroさんは美人だって聞いてたから…。なんだ、Aかよ。ガッカリだわ」
「なにそれ、どこ情報よ」
おかしなことばかり言うシンに笑いが出る。
ミンハオを見ると、ニコリと笑顔を向けられた。
…やっぱり、ここは夢の中なのかもしれない。
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sani(プロフ) - みいなさん» コメントありがとうございます!感想いただけて嬉しいです( ; ; )読んでくださりありがとうございました♫ (2022年4月16日 13時) (レス) id: a75bf160ab (このIDを非表示/違反報告)
みいな(プロフ) - 凄く素敵なお話でした。メッセージで主人公が思わず涙するシーンで思わず私も泣いてしまいました。ジフナと無事に再開出来て結ばれて良かったです。 (2022年4月10日 17時) (レス) @page42 id: 6dadd51152 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - みつきさん» 読んでいただいてありがとうございます(*^^*)とてもあたたかいお言葉、うれしいです!ほかのお話も読んでいただけるとのこと本当にありがとうございます!楽しんでいただけたら幸いです(o^^o) (2019年6月21日 19時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
みつき - 私は作品には作者様の特徴が表れると思っていますが、この作品は文章のタッチが柔らかくて読んでいて穏やかな気持ちになりました。ほかの作品も読ませていただきます。 (2019年6月21日 17時) (レス) id: fe7b9881cf (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - satoetu61さん» わー( ; ; )ありがとうございます!2度も読んでいただけたなんて…感無量です!!嬉しいお言葉も本当にありがとうございます(*^^*)きゅんきゅんしていただけてたら幸いです! (2018年4月22日 19時) (レス) id: f23e3c8ef3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sani | 作成日時:2018年4月4日 19時