向かう先はひとつ ページ21
.
「男が部屋から出てくるってさー、どうよ？」
「え、なに？どういうこと？」
「…はぁ、ほんと。…だーかーらー、何もなくても何かあるんじゃないかって思うのが人の心理でしょ」
「…ちょ、ちょっと待って、えっ？何か、って…スンチョルと私が付き合ってるって？！ないないないない！」
「だから、」
「え？！よく分かんないんだけど、ジョシュアくんは勘違いしてるってこと？！」
「や、まって」
「なんでそんな……や、でも確かにジョンハンくんに彼女がいたら、私こんなふうに話しかけられないかもしれない……」
「おい、なんで俺に彼女いないって決めつけてんの」
「いるの？！」
「………いないけど」
「よかった！えーと、じゃあ…誤解とかなくちゃだね！ありがとう！ジョンハンくん！」
「え、ちょ、」
自分で言うのもなんだけど、こうと決めたら突っ走る行動力はあるほうだと思う。
ジョンハンくんの言葉を最後まで聞くことなく、私の足は一直線に動き出した。
マンションに着いて、5階に上がって、ジョシュアくんの家の前。
息を大きく吸い込んで、呼び鈴を鳴らした。
暫くしてこちらに近づいて来る足音が聞こえて、玄関のドアがガチャリと開いた。
走って上がった息が一瞬止まる。
それと同時に心臓が大きく脈打った。
「……え、Aちゃん？ど、どうしたの」
「あっ、ジョシュアくん、突然ごめんね、あの、あのね！私、スンチョルと付き合ってるとか、そういうこと一切ないから！」
「…え？……うん、うーん、えーと」
目を合わせたジョシュアくんが、困ったように笑う。
「別に、スンチョルとAちゃんが付き合ってるとかは…思ってないよ」
「へ？」
え……これは、また私のひとりで突っ走った結果でしょうか、はい、そうです。
「あ、え、えと」
やばい、どうしよう、恥ずかしい。顔に熱が集まるのが分かる。
私は一体同じ失態をいくつ繰り返せば懲りるのか。
「それ言うために走って帰ってきたの？」
「……あー、その」
走ったことで上がった息と、乱れているであろう髪の毛。
鏡を見なくったって分かる悲惨な現状に言葉が出ない。
「…どうしてそんなに……」
「え？」
ジョシュアくんが一言呟いて、困ったように笑いながらため息を吐く。
言葉はしっかりとは聞き取れなくて、よく分からないまま空間に溶けた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3219人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sani(プロフ) - まきさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます♩コメントがとても励みになります(*^^*) (2023年4月30日 17時) (
レス) id: 7a94fb5d3b (このIDを非表示/違反報告)
まき(プロフ) - ステキです💕 (2023年4月29日 15時) (レス) @page36 id: 42ceeb9bf2 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - 皇 七星さん» コメントありがとうございます！見てくださってて本当に感謝です（ ; ; ）そして受験、おつかれさまでした♩優しいお言葉も嬉しいです。これから更新がんばります(*^^*) (2023年4月9日 7時) (レス) id: 7a94fb5d3b (このIDを非表示/違反報告)
皇 七星(プロフ) - わ〜!!更新ありがとうございます!!受験期に息抜きに見てました、すっごく気になってたので嬉しいです!!ジスに遊ばれてる感じが堪んないです笑これからも応援してます、saniさんのペースで頑張って下さい!! (2023年4月9日 6時) (レス) id: 1a6cae3926 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - むむさん» コメントありがとうございます。お待たせしてしまい申し訳ないありません（ ; ; ）もしまた見てくださるようであれば、またよろしくお願いします。 (2023年4月8日 3時) (レス) id: 7a94fb5d3b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sani
| 作成日時：2021年3月17日 22時
