伝わる熱と ページ36
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大学の授業のこととか、教授のこととか、当たり障りのないことをペラペラ話していたら、いつのまにかマンションの目の前についていた。
心ここにあらず状態で、よくあんなにも口をついて出たな…。
エレベーターに乗り込んで、ジョシュアくんの後頭部を眺めながら、そんなことを考えて少し息を吐いた。
「Aちゃん?」
「えっ、は、はい!」
やばい、ぼーっとしちゃってた。
気付けば5階に着いていて、ジョシュアくんが内側のボタンを押したまま私が先に出るのを待ってくれている。
「大丈夫?酔いがまわってきた?」
「あ、いや、大丈夫だよ!ごめんね」
お先にー、とエレベーターから降りると、ジョシュアくんもその後に続いた。
廊下はそんなに広いわけじゃないから、必然的に私が先頭切って歩く。
後ろにジョシュアくんがいるって考えると、なんか歩き方がぎこちなくなっているような気がした。
「え、」
ふと、手首を後ろから掴まれて歩みが止まる。
じわりと掴まれた部分が熱い。
……えー、と、これはもしかしなくても、ジョシュアくんに掴まれてますね?
声がうまく出なくて、確認するようにちらりと後ろを向いた。
「ね、本当に大丈夫?」
「…えっ、と、え、だ、だいじょうぶ、うん」
「歩き方も変だし…大丈夫と思えないんだけど」
あっ…やっぱり変でしたか。
反射的に顔に熱が集まる。
「…ちょっとごめんね」
そうジョシュアくんが呟いた次の瞬間、ジョシュアくんの手が手首から手のひらに落ちてきた。
…え?え?!なに?!
状況が理解できないうちにするりと手が繋がれる。
そのままジョシュアくんがすっと私の横を通り抜けたと思ったら、今度は繋いだ手に優しく引っ張られた。
「家の前まで歩ける?」
「…あっ、えっ?!」
そんな!ほんのちょっとの距離なのに!ていうか大丈夫なのに!!ぼーっとしてたのも、歩き方が変なのも、酔っ払ってるからじゃなくて別の理由があるからなのに!!!!まじで!まじで!!!
そんな訴えは心の中で叫ばれただけで声にはならず、結局自分の部屋の前までジョシュアくんに引っ張られるという醜態をさらしてしまった。
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チエ - いえいえ!焦らずsaniさんのペースで大丈夫です!気軽に続きを読めるのを楽しみにお待ちしてます^^ (2021年3月16日 14時) (レス) id: b5b68b1f48 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - チエさん» コメントありかとうございます!お待たせして申し訳ありません…( ; ; )続きもすぐに更新できるようがんばります!!嬉しいお言葉、とても励みになります(*^^*) (2021年3月11日 19時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
チエ - いつも楽しく読まさせていただいてます!久しぶりの便新とても嬉しかったです!!続き楽しみにしてます! (2021年3月11日 17時) (レス) id: b5b68b1f48 (このIDを非表示/違反報告)
sani(プロフ) - 宵さん» コメントありがとうございます!更新ほんとに遅くてすみません( ; ; )速度あげられるよう頑張ります!大好きといっていただけて嬉しいです。本当にありがとうございます! (2021年1月15日 23時) (レス) id: e36f83df04 (このIDを非表示/違反報告)
宵(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!ジョシュアの独特のテンポが心地良い大好きな作品です。これからも楽しみにしてます! (2021年1月15日 23時) (レス) id: 1aa1083407 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sani | 作成日時:2020年5月4日 23時