WZ side:そういうこと ページ33
【ウジ目線】
…
作業室から出て、自販機でコーヒーを買う。
長時間椅子に座っていたせいで固まった腰をほぐすようにフラフラと歩く。
すると練習室の明かりが点いているのが目に留まった。
まだ誰かいるのか？電気の消し忘れか？
ひょいと練習室を覗くと、ピアノを弾いているAヌナがいた。
WZ「月の光…？」
ピアノを弾いているヌナの表情がいつもと違って見えて、少し不安になって声が出てしまった。
目を丸くしてこちらを見るヌナ。
俺と認識して、ゆっくりと笑顔になった。
なんだ。もう帰ってたと思ってたから。
なぜか胸が高鳴る。
そのまま、ヌナの座る椅子に腰かけた。
WZ「綺麗な曲ですよね」
話すことが見つからなくて、とりあえず月の光の話をする。
「あぁ、うん。…はは。クラシックは久々に弾いたよ」
ヌナの横顔がなんだか寂しそうに見えて、ヌナのほうにもたれかかってみた。
別にそのあとのことは大して考えていなくて、自分の行動に顔が熱くなるのを感じる。
それでも…
なんだかよく分からない安心感に包まれる。
余計な力が抜けていくような。
WZ「…疲れました」
そういうと俺をどかそうと近付いていた手が離れていく気配を感じた。
背中にヌナの暖かさを感じる。
優しい言葉をかけてくれるから、どうしていいか分からない気持ちになって、後ろにもっと体重をかけてみる。
「ねぇ、ちょっと、重い」
それ以上ヌナは何も言わなかった。
もう少し、もう少しだけ。
いつかのジスヒョンの言葉が頭に浮かぶ。
ああ、
そういうことなのかな。
・
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作者名：sani
| 作成日時：2018年3月26日 16時
