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黒の学ラン、短い黒髪、そして切れ長な青い瞳。一切変わらない半透明な身体。
昨日外出で家を出た雨地だった。
平気な顔をして帰ってきた雨地の顔を見て、私は立て掛けられた古い壁時計に目をやる。もうすぐで家を出る十分前になる。
雨地が家を出たのは昨日の夕方以降。それから朝まで帰ってこない。学ラン姿も相まって、まるで夜遊び常習の不良男子学生のようだ。
「……まさか日を跨いで帰ってくるとはね……」
呆れを隠すことも出来ず、私はため息混じりに言った。
言葉の意味を汲み取ったのか、雨地は眉を寄せて不機嫌そうな顔をした。
「……別に夜遊びって訳じゃない。腹も減らん眠くもならん、誰にも姿が見えん。幽霊の特権の有効活用ってヤツだ」
分かってはいた。
外出する前に理由も言ってくれたし、心の中では分かってはいたのだ。
でも。
「だからってさ……少し、心配する」
口の中に留めるように言った言葉は、どうやら雨地には届いていなかった。聞こえなかったのはそれはそれでいいのだが、でもちょっと悔しい感じがして、代わりに拗ねた表情を浮かべて見せる。
言葉を聞き取れず、更にいきなり拗ね始めた私に雨地は不思議そうな顔をしたが、それ以上言ってくることはなかった。
「そうだ。学校、一緒に行く？」
「……暇だからな……そうするか」
◆
未だ雨はしぶとく降っていた。傘は紛失したために仕方なく悠太郎のを借り、雨の中を雨地と共に歩いていた。
大きな傘の中に、窮屈に身体を縮こませる私。隣を歩く雨地の存在が、今になってやけに大きく感じた為である。
兄弟もおらず、異性との交流も少なく。地味な女として過ごしてきたのが災いしてしまった。しかも相手はイケメンだ。緊張するのもおかしくはない、はず。
傘の下から、バレないように雨地を覗き見る。
雨地は雨の中、すました顔をして歩いていた。半透明な身体は雨粒まで透けてしまうのだろう。
……改めて見ても、かっこいいとは思う。ポケットに手を入れて歩くその精悍な容姿やら青い目やら、上から下まで非の打ち所がない。少し羨ましい気もした。
気分を変えるため、話題を考えてみる。
「そういえば、何か思い出したりした？」
雨地はちらと見て、また前を向いた。
「いいや。学校周辺を散策してみたが、何も思い出せねぇ」
「……簡単には行かないか……っ？」
高校近くにまで差し掛かると、突如空間の中に怒声が響き渡った。
男の声だ。
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燕＊(プロフ) - ちくわのカルパッチョさん» コメントありがとうございます！あの時はリクにお答えして下さったこと、ご愛読やお気に入りまでして頂いて、心から感謝申し上げます…！お褒めの言葉、とても嬉しいです！これからも当作品を宜しくお願い致します！ (2016年1月6日 2時) (
レス) id: f04a1805d5 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわのカルパッチョ(プロフ) - だいぶ前にイラストのリクを承った者ですが、それがきっかけとなりあの時からこの作品をお気に入り登録させていただいています。とても描写が綺麗で繊細でいつも引き込まれます。これからの展開が楽しみです＾＾ (2016年1月5日 23時) (レス) id: 5e0cf1c1a8 (このIDを非表示/違反報告)
燕＊(プロフ) - 伝吉さん» コメントありがとうございます。紹介の件は大丈夫です。まだそこまでネタバレしてはいけない所まではいってもないので← イラスト、楽しみにしておりますね！ (2016年1月4日 22時) (レス) id: f04a1805d5 (このIDを非表示/違反報告)
伝吉(プロフ) - 近日中にイラストを上げられそうなのでご報告にあがりました。そこで一つ提案なのですが、この小説を私の作品で紹介しても構いませんか？勿論、ネタバレしないように気を付けます。どうでしょうか？ (2016年1月4日 21時) (レス) id: bc33d6f617 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 伝吉さん» うわああわざわざ読んで下さってありがとうございます！とても励みになります…。これからも日々精進して参ります！ (2016年1月1日 0時) (レス) id: f04a1805d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燕 | 作成日時：2015年7月17日 1時
