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あの公園から家に帰るまで、色々思考を巡らせてはみた。雨地が視え、なおかつ雨地から接触することが出来た、あの坊主頭のこと。そして、あの男子のこと。何かしらの問題を抱え、あの二人組を相手しているように伺えた彼は、それを誰にも悟られることなく、必死に自分自身で完結させようとしている。
坊主頭の件も気になるが、あの男子も放って置くことも出来ない。彼をそのままにしてしまったら、彼を気にする"誰か"が、きっと悲しむに違いない。
「それと、あまり人を痛めつけたりしない」
先ほど悠太郎が入れてくれたホットミルクを片手に、私は目の前に立つ幽霊の青年をじとりと見つめた。
今になって思い返してみれば、あれは暴力事件沙汰である。本来ならば焦ってもおかしくはないのだが、何しろ容疑者は霊感がない者から見れば姿形も影もない幽霊なのだから大変だ。
勿論、これを誰かに話すなんて事はしない。目撃者も坊主頭と私しかいないのだし、というか人助けの為なのだし、見逃してくれるような状況ならば甘んじさせて貰おう。それに幽霊だなんて信じないだろうし。
と、言い訳を頭の中で並べていると、ふと鼻の折れ曲がった坊主頭の光景をありありと思い出して、私は頭を抱えてため息を吐いた。責めた視線を受けた雨地は、その精悍な顔に苦笑を浮かべながら「努力はする」とだけ言った。
……こいつ、生前は血の気の多い男子生徒だったに違いない。
＿＿＿＿というのが、昨日纏めた結論だった。
今日も相変わらず農家泣かせなしぶとい雨が降っていた。
悠太郎の傘を借りて、いつもと変わらず雨地と共に学校へ。その道中、あの坊主頭たちにばったり出くわさぬよう祈りつつ。
内心穏やかじゃない登校だったが、意外にも無事に学校に辿り着いた。
机に荷物を置いたところで、やっと強ばっていた緊張の糸が解ける。心の中で胸を撫で下ろしつつ、早速晴香が出席しているか目で探した＿＿＿。
「よし、では話を聞かせて貰おうか。晴香」
昼休み、私はおかかの乗った白飯を頬張ろうとしていた晴香の机に、手を置き、さながら事情聴取が如くそう切り出した。ここにカツ丼があったらより本格的だろう。
当の晴香は動きを止め、目をぱちくりと開閉し、何の事だかよく判っていなさそうな惚けた面をしていた。とにかく、その大きく口を開けたまま静止するのは物凄く間抜けなので辞めてほしい。
私の隣には雨地が立っているが、やはりというか、気づかない。
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燕＊(プロフ) - ちくわのカルパッチョさん» コメントありがとうございます！あの時はリクにお答えして下さったこと、ご愛読やお気に入りまでして頂いて、心から感謝申し上げます…！お褒めの言葉、とても嬉しいです！これからも当作品を宜しくお願い致します！ (2016年1月6日 2時) (
レス) id: f04a1805d5 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわのカルパッチョ(プロフ) - だいぶ前にイラストのリクを承った者ですが、それがきっかけとなりあの時からこの作品をお気に入り登録させていただいています。とても描写が綺麗で繊細でいつも引き込まれます。これからの展開が楽しみです＾＾ (2016年1月5日 23時) (レス) id: 5e0cf1c1a8 (このIDを非表示/違反報告)
燕＊(プロフ) - 伝吉さん» コメントありがとうございます。紹介の件は大丈夫です。まだそこまでネタバレしてはいけない所まではいってもないので← イラスト、楽しみにしておりますね！ (2016年1月4日 22時) (レス) id: f04a1805d5 (このIDを非表示/違反報告)
伝吉(プロフ) - 近日中にイラストを上げられそうなのでご報告にあがりました。そこで一つ提案なのですが、この小説を私の作品で紹介しても構いませんか？勿論、ネタバレしないように気を付けます。どうでしょうか？ (2016年1月4日 21時) (レス) id: bc33d6f617 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 伝吉さん» うわああわざわざ読んで下さってありがとうございます！とても励みになります…。これからも日々精進して参ります！ (2016年1月1日 0時) (レス) id: f04a1805d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燕 | 作成日時：2015年7月17日 1時
