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カウンターの更に奥の扉がガチャっと開くと、両手にお皿を持ったスラリと背の高い男の子が現れた。
「もう、お前らうるさい!キッチンまで聞こえてきてんで」
高めのトーンで、威勢の良い関西弁を話す。
彼は週2の頻度で働いている大学生で、名前は廉くん。
「廉おそーい!お腹ペコペコ通り越したから、食べれないかも」
先程好きなタイプを尋ねた女の子は、優太くんと話していた時よりも更にテンションが上がっている様に感じた。
「ふっざけんなよ、残したら許さへんよ」
言葉とは裏腹に廉くんも笑顔を浮かべながら、彼女達の前にお皿を並べた。
細めのカリカリとしたポテトフライと、皮がパリッと程よい脂でツヤツヤしたソーセージの盛り合わせだった。
遠くの席のお客さんに「すみません」と声をかけられ、優太くんはカウンターを離れた。
彼女達はそれぞれ優太くんと廉くんに好意を持っていることは明らかだった。
それはきっと彼らも分かっていて、気付いていないフリをしてるのだろう。
彼らはただでさえ魅力的なのに、ここでの振る舞いや魅せ方を身につけていた。
堕ちることはとても簡単なことで。
勘違いされたり、妬まれたり…こういう場面に鉢合わせることは嫌という程ある。
それでも優太くんに会いに来る理由ーー。
私にとって彼は恩人であり、今となっては友人であり、落ち着ける場所だからだと思う。
お店の扉が開き、そこには買い物袋を持った大人の男性が入ってきた。
「和也さん、おかえりなさい!」
カウンターにいる廉くんがいち早く気づくと、お客さんからもチラホラ「おかえり」「遅かったね」などと声が上がった。
和也さんはこのお店のオーナーで、年齢は30代前半。元々はNo. 1ホストだったらしく、彼を一目見れば、納得できるだけの外見とカリスマ性を持ち合わせていた。
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moco(プロフ) - りんさん» りん様、ご覧頂きありがとうございます!亀更新になりそうですが、続きもお読み頂けたら嬉しいです! (2019年4月7日 8時) (レス) id: 169c616d0b (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - コメント失礼致します。お話読ませて頂きました!これからのお話も楽しみにしています。 (2019年4月7日 1時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:moco | 作成日時:2019年4月3日 22時