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#37 ページ37

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紫耀のギターの音に心を奪われていると

携帯の受信音が鳴った。

紫耀はポケットからそれを取り出すと

はぁっと一つ溜め息をついた。



「…どうかした?」

「…あぁ、そろそろ行こっかな」

「わかった、彼女でしょ?」



私がニヤニヤしながら言うと
図星だったのか紫耀はこちらをきっと睨んだ。



「…Aは?彼氏の部活終わんの、待ってんの?」


さっき私が茶化したのが原因だろうか。
紫耀の話し方は不機嫌そのものだ。


「まあ、水曜しか会えないし…」


これ以上機嫌を損ねない様にと
紫耀の様子を伺う。







「ねぇ、A……本当に、ちゃんと好きなの?」







もう睨んでいる感じではないけれど

そのキレイな瞳は、温度を無くして

冷え切っている様だった。


全てを見透かそうとするみたいに

瞬き混じりに見つめられると

心当たりがない訳じゃないから…。

氷の刃でその隙を突かれ、胸が痛む。





「何それ、…好きだから付き合ってるんでしょ?」


好きだから?
…好きになろうとしているから?
いや、好きにならなきゃいけないから…。




「そっか。そうだよな…」




紫耀は俯きながらそう呟くと
急かされるみたいに
もう一度、携帯の受信音が鳴る。



「…じゃあ、また練習付き合ってやるから。また来週な?」


先程までの表情とは一転
にこりと笑って紫耀は音楽室を立ち去って行った。



私も笑顔を作り、控えめに手を振って、紫耀を見送った。








彼の部活が終わり
ゆっくりと話をしながら帰路に着く。

初めてお付き合いをした人で
初めて告白をされた人。


告白なんてされても、どう返事をしていいのか分からず
クラスメートに相談したんだっけ。

高校生になって周りは彼氏持ちも多く、
「悩むんだったら付き合っちゃえば?」と背中を押された。

次に会った時にOKの返事をすると
嬉しそうに笑ってくれた表情がとても可愛いと思えた。

あれから約1ヶ月。
ほとんど話したこともなかった彼のことも
少しずつ分かってきた気がする。

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設定タグ:岸優太 , King&Prince   
作品ジャンル:恋愛
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moco(プロフ) - りんさん» りん様、ご覧頂きありがとうございます!亀更新になりそうですが、続きもお読み頂けたら嬉しいです! (2019年4月7日 8時) (レス) id: 169c616d0b (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - コメント失礼致します。お話読ませて頂きました!これからのお話も楽しみにしています。 (2019年4月7日 1時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:moco | 作成日時:2019年4月3日 22時

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