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#34 ページ34

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高校1年の7月。


毎週水曜日は唯一
習い事などの予定がない日だった。


放課後は音楽室のグランドピアノで
課題曲の練習をすることにしていた。


窓の外からは運動部の掛け声が聞こえてくる。

その一体感に浸ると
私まで頑張らなきゃ、と
自然とモチベーションが上がるから
音楽室での練習は欠かせないものだった。



今練習している曲は
技術的な問題なのか
どうしてもペースを速めると
中指から親指への移行が上手くいかず
同じところでつまづいてしまう。




仕切り直して
もう一度最初から弾こうと
譜面に合わせて鍵盤の上に指を置いた。





その時ガチャっと大きな音を立てて
音楽室の扉が開けられた。







「…相変わらず、キレイに弾くのな」






少し掠れた低めの声。


着崩した制服から覗くガッチリした前腕。


手にはアコースティックギターが握られていて。


クセのないストレートの髪は


うざったそうに目にかかるほどの長さまで伸びていた。






「……紫耀、また来たの?」



「ん、また邪魔しに来た」





イタズラっぽく笑う彼は

近所に住んでいる中学2年生の男の子。



私たちは中高一貫校に通っていて
高等部の校舎には理由を付ければ
出入りすることは簡単だった。



整ったキレイな顔立ちの所為もあって
高等部でも紫耀の話題を聞かない日はない程の人気者だ。

当の本人はそんなこと、ちっとも興味が無さそうだけど。



幼馴染みと呼べる程ではないが
小さい頃は母親同士の集まりなどでよく顔を合わせていた。

女の子の様に控えめで大人しかった紫耀は
私の後ろをついて回っていたのに。



小学校の高学年の頃には
すっかり生意気に成長して
近所で見かけても避けられる様になった時には
実は結構落ち込んだものだった。



それが、どういう訳か。
最近、紫耀の方から歩み寄ってくれている。




お互い一人っ子の私たちは

また姉と弟のような関係になり始め

嬉しいような、くすぐったいような気持ちだった。

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設定タグ:岸優太 , King&Prince   
作品ジャンル:恋愛
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moco(プロフ) - りんさん» りん様、ご覧頂きありがとうございます!亀更新になりそうですが、続きもお読み頂けたら嬉しいです! (2019年4月7日 8時) (レス) id: 169c616d0b (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - コメント失礼致します。お話読ませて頂きました!これからのお話も楽しみにしています。 (2019年4月7日 1時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:moco | 作成日時:2019年4月3日 22時

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