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#29 ページ29

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今は有難いことに

Aさんにとって一番身近な異性だと自負しているけど、

本当の気持ちを伝えてしまえば

一番遠くへと追いやられてしまうだろう。







それを解っていても

閉じ込めたはずの気持ちが溢れ出してしまう事がある。






今日、満開の桜の中で涙を流した貴女を見たときもそうだった。


涙で濡れて赤くなったAさんの目が


視界に入ってしまうと


どうしても抗えない衝動が


俺の掛けたカギなんか簡単に壊して溢れ出す。


その全てが愛おしくて、触れたくて。


出来ることなら


貴女の悲しみを忘れさせるくらいに、愛したいのに。




それが出来ないからまた


その感情を無かったことにして元の箱に戻す。


会えなくなってしまう位なら、ずっとこのままで。


そんな事の繰り返しだ。







夢の中でも


Aさんを抱き寄せた時の甘い香りが


ずっと残ったままで。









「……くん。起きて、ゆうたくん…」


自分の名前を呼ぶ声が近くで聞こえて

重い瞼をゆっくりと開ける。



「……A、さん……?」



俺の体を揺さぶりながら、覗き込むように顔を近づけるAさんが視界に現れる。



あと20センチ程近づけばキス出来るのに、

なんて思春期男子の様な発想は、夢の続きにいたから。

徐々に目が覚めてくると

なんて事を考えてしまったんだろうと恥ずかしくなり

すぐに理性モードに切り替えた。





「…大丈夫?」


Aさんは、心配したように眉毛を下げながら
俺の顔に手を伸ばす。


「…悲しい夢、みたの…?」


とても優しい声でそう言っては
俺の下瞼を指で拭う。

どうやら夢を見て泣いていたらしい。


また頭を軽くポンポンっとして笑い掛けてくれる。


「はい」と手を差し出してくれて
その手を掴むと
やっと起き上がることが出来た。



「ありがとうございます…」


「うん、寒くなってきたから帰ろっか」


Aさんの行動ひとつひとつが

優しさと可愛さで溢れていて

またも胸が大きく鳴り出してしまう。

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設定タグ:岸優太 , King&Prince   
作品ジャンル:恋愛
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moco(プロフ) - りんさん» りん様、ご覧頂きありがとうございます!亀更新になりそうですが、続きもお読み頂けたら嬉しいです! (2019年4月7日 8時) (レス) id: 169c616d0b (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - コメント失礼致します。お話読ませて頂きました!これからのお話も楽しみにしています。 (2019年4月7日 1時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:moco | 作成日時:2019年4月3日 22時

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