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「そうだよね!本人を前にする話じゃないよね。ごめん…」
「いや、でも珍しいよね?Aさんがこういう話。何か心境の変化とか、あった?」
愛菜ちゃんもジンくんに同意するように
私に目線を合わせて何度か頷く。
「うーん…2人見てたら羨ましくなっちゃって。…変かな?」
「変じゃないけど…なんか、Aさんて意識的に恋愛しない様にしてる風に、見えてたからさ。何かあったのかなって。」
ジンくんから見て、そんな風に見えていたんだ。
あながち間違ってはいないから、ジンくんの観察力は本当に鋭いと思う。
「…昔はいろんな人と付き合ってて。でも、そこに気持ちはなくて…。そういう軽率な恋愛はもうしてはいけないっていう話を、さっき優太くんともしてたから、かな?」
「そうだったんだ…岸くん何か言ってた?」
「えっと…好きな人が出来たら、過去の自分の分まで、その人を好きになったらいいと思うって…」
「はは、岸くんらしいよね」
ジンくんはまた同意を求める様に
愛菜ちゃんと目を合わせて微笑む。
「軽率、か…。どこまでが軽率で、どこからが適正なんだろうね?」
「…え?」
「いや。…案外近くに“軽率じゃない恋愛”の相手がいるかもしれないよ?Aさんが気付いてないだけで、さ。」
ジンくんはそう言って私の目をじっと見て口角を上げた。
「心当たり、ない?」
まるで何かを分かっている様な顔をしてジンくんが聞く。
私はふるふると首を横に振るしか出来なかった。
もし本当にそうだとしたら私は相当鈍感なんだと思う。
「Aちゃんに、好きな人が出来て、幸せになって欲しい…」
ジンくんと私のやり取りを見ていた愛菜ちゃんは
ポツリと呟いて私をぎゅっと抱き締めてくれた。
温かい人達に囲まれて、それだけで私は幸せ者だ。
この身に余る程に。
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moco(プロフ) - りんさん» りん様、ご覧頂きありがとうございます!亀更新になりそうですが、続きもお読み頂けたら嬉しいです! (2019年4月7日 8時) (レス) id: 169c616d0b (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - コメント失礼致します。お話読ませて頂きました!これからのお話も楽しみにしています。 (2019年4月7日 1時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:moco | 作成日時:2019年4月3日 22時