好きって言わせて。【オリジナルストーリー】【恋愛小説】【シスコン】

5話 ページ5

キーンコーンカーンコーンと、放課後を知らせるチャイムが鳴る。
先ほど午後のHRが終わり、生徒たちはそれぞれ帰ったり部活に行ったりした。
私は部活に入っていないし委員会もないため、そろそろ帰ろうと下駄箱に向かっていた時。

「蘭音ちゃん、この後暇？」

「音也君！うん、暇だよ」

話しかけてきた音也君は少し緊張してるようだった。

(音也君だ！！なんだろ。もしかしてデートのお誘いとか…)

「もうすぐテストだしさ。2人で一緒に勉強しない？」

告げられたのはまさかの放課後の勉強のお誘い、しかも二人きり。
私は勉強は大っ嫌いだが…こういうのは別、大歓迎だ。

(少女漫画によくある放課後二人きり勉強シチュだ！何度この展開に憧れたことか…)

「もちろん！どこでやる？」

「学生も入りやすくていいカフェ知ってるんだ。そこ行こうよ」

「わかった！」

私は機嫌よく返事をする。
視線を感じた気がしたがきっと気のせいだろう。



音也君が勧めてくれたカフェはオシャレで素敵なところだった。
私はカフェラテを頼んで、音也君はアイスコーヒーを頼んでいる。
注文終わり、私たちは勉強を始めた。

勉強を始めて数十分。
ふと、音也君の耳にイヤーカフがあるのに気付いた。
いわゆる“チャラ男”がつけてそうなデザインのもの、今まで髪の毛に隠れて気づかなかった。
校則でアクセはOKされているため問題はないが、そういうのを付けるということが意外だ。

「音也君って、そういうのするんだね」

「そういうのって？」

「イヤーカフ。意外だなって思って」

「まぁ、自分では買わないんだけどね」

「そっか、貰い物なの？」

「うん、まぁ友達にね。それより、勉強しよ勉強」

いつもより音也君は少しぎこちない気がした。
焦っている雰囲気、今話題をずらしたような、濁したような。

(何か遠くにいる気がするな、ちょっと寂しい。まあ、私は彼女でもなんでもないんだけどさ)

私はまだ音也君のことを全然知れていないのだ、当然のことだが。
その事実に胸がちくりとした。



その後楽しく緩い勉強会もおわり、家に帰っていた。

「ただいま」

そういった途端、手を引っ張られた。
壁に押し付けられる。
目線の先には、怒っているような焦っているような表情をしたお兄ちゃんたちがいた。

「＿＿あいつと何をしたんだ」

「え、あいつって音也君のこと？」

(いつ見られてたの!?)

「ふぅん、下の名前で呼んでるんだ。随分と仲がいいんだね」

『詳しく話を聞きたい』

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