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「避難を監督するのはフィルチさんとマダム・ポンフリーです。監督生は私が合図したらそれぞれの寮をまとめて指揮を執り秩序を保って避難地点まで移動してください」
静かにそう告げるマグゴナガル先生に対して、ハッフルパフのテーブルからアーニー・マクミランが立ち上がり叫んだ。
「でも残って戦いたい者はどうしますか？」
パラパラと拍手が湧いた。
「成人に達した者は残っても構いません」
「スネイプ先生はどこですか？」
今度はスリザリンの席からだった。
それはAも同様にして考えていたことだった。
しかし、その問いにマクゴナガル先生は「スネイプ先生は俗な言葉で言いますとずらかりました」と答えた。どうやらハリー達と一戦があった様だ。
グリフィンドールにハッフルパフとレイブンクローの寮生たちからは歓声が上がったのをAは複雑な気持ちで見つめるしか出来なかった。
「城の周りには既に防御が施されています。しかしあまり長くは持ち堪えられそうにもありません。監督生の言う通りに」
先生の話はこう続いたが、最後の言葉は大広間全体に響き渡る別の声に掻き消されてしまった。とても恐ろしい___甲高い声だった。
【お前達が戦う準備をしているのは判っている。何をしようが無駄な事だ。俺様には敵わぬ】
それは、ヴォルデモートの声だった。
【ハリー・ポッターを差し出せ。そうすれば誰も傷つけはせぬ。ハリー・ポッターを俺様に差し出せ。そうすれば学校には手を出さぬ。ハリー・ポッターを差し出せ。そうすればお前たちは報われる。真夜中午前0時まで待ってやる】
沈黙が全員を飲み込んだ。
静寂を打ち切ったのは、スリザリンのパンジー・パーキンソンだった。
「あそこにいるじゃない！ポッターはあそこよ！誰かポッターを捕まえて！」
「黙りなさい！パーキンソン！」
Aはサッと動いてハリーの前に立ち、視線の先にいたパンジーを睨み付けた。
Aの言葉に感化された様に、グリフィンドール生、レイブンクロー生、ハッフルパフ生が立ち上がった。
全員がハリーに背を向けパンジーに対峙してあちらでもこちらでもマントや袖の下から杖を抜いていた。
「ミス・パーキンソン。あなたはフィルチさんと一緒にこの大広間から最初に出て行きなさい。他のスリザリン生はその後に続いて出てください」
マクゴナガル先生は周りの生徒を咎めることなく、きっぱり静かに告げた。
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作者名：ひまわり。 | 作成日時：2021年10月3日 21時
