白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ28)

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9月の満月前後から、Aは毎月決まった期間、医務室通いになることとなった。

1週間のうちの何日かは体調を崩し、医務室に向かわなければならなかったり、満月の夜は医務室に寝泊りすることになってしまったのだが____レイブンクローで浮いた存在のAを気にする生徒はルーナ以外寮内には居なかった。

同じ寝室のルーナは『大丈夫？』と気にかけくれ、医務室に居なければならない間、出られなかった授業内容を丁寧に教えてくれた。

彼女は時折姿を消すルームメイトに必要以上に問い詰めることもなく、たまに1人きりで寝室で夜を過ごさないといけないことは全く気にしていない様子だった。

あれから変わったことと言えば、ドラコとの関係だ。

久しぶりに大広間で食事をしようと足を進めていると、彼に会い___Aを見るなり、目を見開いて声を掛けてきてくれた。

「大丈夫か？」

「ありがとう。ドラコが医務室に運んでくれたから助かったわ___また発作が起きたらいけないから、定期的に医務室に通うことになったの。マダム・ポンフリーと、スネイプ先生が診てくれるんですって」

もはや体調を崩してしまう事は満月が来る度に起こることであったので、ドラコに予めこの様に説明しておく事であまり不信感を沸かせない様にと努めた。

「___先生方がそうしてくれるなら、まあ、安心だろうけど、無理はするなよ。寮は違うけど、何かあったらいつでも言ってくれていい」

とても頼もしい一言だった。

学年も違うし、寮も違う。それでも頼れる存在がいることはとても心強いものだ___ふと、Aはあることを閃いた。

「ね、ドラコ。前に勉強を教えてくれるって言っていたでしょう？」

「ぁあ、言ったな___別にいいぞ、どの教科だ？」

ドラコが以前言ってくれた言葉が有効だとわかると、Aは嬉しくなってニコリ、と微笑みながらドラコの手を取った。

「箒の乗り方を教えて欲しいの！___フーチ先生が週末に授業用箒の持ち出しを許可してくださっているから、ドラコが都合付く時だけでいい__お願い、私学年末までにどうしてもレベルを上げておかなければいけない、、！」

ドラコは大きな瞳を輝かせながら自分の手を取るAに固まって、しばらく反応を示さなかったが、ハッとしながら返事を返してくれた。

「わ、わかった___日程を確認したら梟便を送る」

サッとAから自分の手を引いて、ドラコはクラッブとゴイルと共に大広間を出て行った。