白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ41)

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ハーマイオニーの猫化は1週間程で治り、彼女はようやく医務室を退院することが出来た。全く授業に姿を現さない彼女に『石にされたのでは』という噂も飛び交ったが、ハーマイオニーは全授業の課題やレポートを完全にこなして提出することでその噂を全て跳ね除けた。

医務室で『秘密の部屋について調べている』というハーマイオニーの言葉を聞いて以来、Aは時々彼女に付き合って図書室で様々な文献から秘密の部屋についてのヒントが何かないかを調べる様になった。

自分にしか感じない〝匂い〟と〝音〟の正体を調べたかったのだ。

初めは戸惑っていたハーマイオニーも、Aの真剣さと手際の良さに喜んでくれる様になった。

「ハリーやロンも、もっと本に興味を示してくれたらいいのだけれど！」

そう呟く彼女に、Aは思わずクスクスと笑ってしまうほど、2人の距離はぐんと近くなった。

2月に入っても、ボクワーツ城は身体の芯から冷える様な寒さであり、シン、と静まり返った城内はより一層不気味さを引き立たせた。

そんな中、ポツン、と中庭に立つ赤毛の女の子と黒猫の姿を見つけ、Aはルーナと共に顔を見合わせてそちらへ向かった。

「ジニー？、、泣いているの？」

静かな空間にAが囁く様に呼ぶ声と、ジニーの鼻を啜る様な音が響いた。クレヴァはもうジニーに威嚇する様な態度は見せていない。心配そうにペロペロと彼女の掌を舐めていた。

「大丈夫なの___クレヴァが助けてくれたから__」

どういう意味かは解らなかったが、ジニーの顔色は随分と良かった。涙には悲しみや恐れもある様だが__少しだけ安堵の色がある様にも思えた。

「あたし達、いつでも味方だもン、頼ってよ」
「そうよ__さぁ、冷えるわ、行きましょう」

そう告げたルーナと共に、Aはそっとジニーの肩を抱いて暖かい大広間へと彼女を誘った。

それから数日は穏やかな日々だった。ジニーも前よりも会話を楽しんでくれる様になったし、少しずつ食欲も戻ってきた。

しかしある日、チラリとハリーを見たジニーが目を大きく見開いて、A達に何も声も掛けずに早々と立ち去ってしまった。

それ以来___あっという間にジニーは再びA達を避け、真っ青な顔で俯いて過ごす日々が多くなった。

「ジニー、どうしたの？待って__」

Aの声掛けも虚しく、ただ去っていくジニーを目で追うしか出来なかった。彼女の両手にはいつかの様に黒い手帳がしっかりと抱かれていた。