白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ20)

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レイブンクロー寮の談話室に入る為には、ブロンズ色のワシの形をしたドアノッカーが出す問題に答えなければならず、問題が解らなければ、解る生徒が来るまで入ることが出来ない。

しかし、答えられる知性があれば誰でも入れてしまうのではないか、とAは思った。

レイブンクローの談話室はホグワーツ城の塔のひとつにあり、広々とした円形の部屋。

部屋に行きつくには急な螺旋階段を昇る必要があったので、初めてそこに向かう一年生達は思わず息があがった程だ___

中には優雅なアーチ型の窓があり壁には青とブロンズの絹が掛かっていて、ドーム型の天井には描かれた星が暗い濃紺の絨毯を映えさせている。

落ち着いた雰囲気で、Aはとても気に入った。

「何か困ったことがあったらいつでも言ってね」

監督生のペネロピー・クリアウォーターはとても優しく頼もしい人だった。

寮室は、ルーナと2人きりの様だ。

彼女の格好は少しばかり独創的で__コルクで作ったネックレス、オレンジ色のラディッシュに似たイヤリング___でもどれも、ルーナの雰囲気にぴったりだなと感じた。

部屋でトランクの荷解きをしながら、ルーナはたくさんのことを教えてくれた。Aも、〝半人狼〟であることと、父親のこと、セブルスが〝保護者〟ということは伏せながらこれまでの自分のことを話した。

ルーナのお母さんは、彼女が9歳の時に魔法呪文の実験に失敗し命を落としてしまったそうだ。

「お母さんがいないって言うところは、一緒だね」

つい最近の出来事であるものの、ルーナはそのことを気にしている様子はあまりなかった。

彼女は家の話だけでなく、夢見心地で魔法生物の話もしてみせてくれた。

「えっと、いま、なんて？」
「__ ブリバリング・ハムディンガーやしわしわ角スノーカックよA」

つい最近魔法界のことを知ったばかりのAにとって、ルーナの話はとても興味深かった。

本当にそれらの魔法生物がいるかどうかは解らなかったが、なんだか彼女の話を聞いていると本当にいるような気がした。

彼女のお父さんが編集しているザ・クィブラーという雑誌にAが興味を示すと、ルーナはとても嬉しそうにその雑誌を譲ってくれた。

「次からAに新刊を渡してあげる__お父さん、きっと喜ぶもン」

にこり、と笑顔を見せるルーナとのこれからの生活が楽しみだと感じた。