白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ16)

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___9月1日、ついにホグワーツに入学する日がやってきた。

Aを魔法界の漏れ鍋に連れて来てくれたセブルスは先日顔を見せてくれたが、新学期の為に当日は迎えに行けないので自分で汽車に乗る様に伝えられた。

ホグワーツ特急に乗る為には、不安を覚える様な方法が必要だった。

指定された9と4分の3番線は駅構内には存在せず、漏れ鍋の様に普通のマグルには分からない様な方法で入口から入らなければならなかった___ただの壁に突っ込んで行かなければならないのだ。

事前にセブルスに教えられていたとはいえ、マグルがプラットホームを行き交う中、何もない壁に向かって走っていくにはかなりの勇気が必要だった。

Aは壁にぶつかる直前、ギュッと目を瞑ったが、想像していた衝撃がなく、恐る恐る目を開けると目の前には立派な〝ホグワーツ特急〟と表示された汽車が待ち構えていた。

ダイアゴン横丁にいた様な、子どもや、魔法使い、魔女達でひしめき合っていて、もうそこには忙しなく行き交うマグルは1人も歩いて居なかった。

周りの生徒達の様に、別れを惜しむ家族も居なかったので、Aは早々に汽車に乗り込み空いているコンパートメントに入った。

窓からホームを覗きながら、ダイアゴン横丁で顔見知りになったジニー・ウィーズリーに会えることを期待していたが、大勢の人の中から彼女を見つけることは出来なかった。

間も無く汽車が出発する事を知らせる汽笛を鳴らした時、ガラッとAのいるコンパートメントが開いた。

「もう他はいっぱいなんだ__ここに座っても？」
「ええ、どうぞ」

プラチナブロンドの男の子が、彼よりも大柄な男の子を2人連れてやってきた。

彼はAが頷くと遠慮なく乗り込み、目の前の席にドカッと座り込んだ。大柄な男の子もAの隣に1人、彼の隣に1人座った。

「新入生だな、君は〝マグル〟か？」

名前よりも先に、出身を尋ねてきた彼に少しだけ疑問を感じながらもAは首を横に振った。

「お母さんは魔女だったの」
「父親は？」
「ごめんなさい__分からない、母は未婚で私を産んだから。__ねぇ、名乗らないで出身を尋ねるのは失礼ではないの？A・グレイディよ」

〝父親〟のことは多く語らない方が良さそうだと判断しながらAがそこまで言うと彼は目を見開いた。

「悪かった__僕はドラコ・マルフォイ。僕の隣にいるのがクラッブ、君の隣がゴイルだ」

Aは彼と握手しながら微笑んだ。