消えた友達 ページ21
「私、ホープに何かしちゃったのかしら」
日中、Aと過ごす母親はあまり元気がないものの、リーマス達のことを口にすることは無かったが、夜にAがベッドに入って寝静まった所を確認すると仕事から帰宅してきた父親にそう呟いた。
今夜は約束した満月の日と同じ様に、綺麗な月が満ちている。
あれから数ヶ月が経っていたが、満月を見ると彼のことを忘れることが出来ず、悲しい気持ちが込み上げてくる。それ故に、実はなかなか寝付けていなかったAはそっと両親の声に耳を傾けていた。
「ソフィア、そんな事は無いよ。君達はいつだって支え合っていたんだろう＿＿何か、他の理由があるはずだよ」
弱々しく呟く母親の背中を優しくさすりながら、父親はそう答えたが、彼もあまり覇気がないような声色であった。闇の勢力が隠れながらも力を持っている今、こうして突然と姿を消してしまう者達も稀に居た。彼は忙しい合間をぬって、かつての学友の無事を祈って情報を探していたがほとんど空回りに近かった。
「ぁあ！なんて事だ＿＿」
それからまた数ヶ月が経った日曜日の午後、日勤を終えた父親が聖マンゴ病院から帰宅した後に息を荒げながら興奮した様子で、バタン！と玄関の扉を大きく閉めて入ってきた。
「お帰りなさい、アーチー。どうしたの、顔色が良く無いわ」
Aと一緒にランチを用意していた母親がそう尋ねると、父親は差し出された紅茶を手に取り、ただカップの中を呆然と見つめるだけで、口にする事はなかった。
「ぁあ、いいか、落ち着いて聞いてくれ＿＿今日、聖マンゴ病院で開かれた臨時の会議で出会ったヒーラーに聞いた話なんだが」
そう口にする父親の方があまり落ち着いている雰囲気ではなかったが彼女達は頷いた。
「数ヶ月前、リーマスとライアル、ホープが彼の元に訪ねてきたらしいんだ。どうやら、リーマスは人狼のフェンリール・グレイバックに噛まれてしまったらしい」
「そんな、それって」
母親の驚きの言葉を固定する様に父親は頷いた。
「リーマスは、人狼になってしまった。だから彼らは僕達の前から姿を消してしまったんだ」
父親のその言葉を聞いて、まもなく5歳の誕生日を迎えるであろう友人のことを考えるとAは胸が張り裂けそうな想いだった。
彼の誕生日の3月10日は、次の満月を迎える日だったのだから。
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ひまわり。(プロフ) - レティシアさん» ありがとうございます😌子世代編へと続いていくのでお時間あれば目を通していただけると嬉しいです(^^) (2022年1月27日 20時) (
レス) id: 0e882bf437 (このIDを非表示/違反報告)
レティシア - ……この作品、最高。これこそ私の探していた小説ｯ (2022年1月27日 19時) (レス) @page49 id: 04b1c05e16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひまわり。 | 作成日時：2021年4月14日 20時
