-40- 黄百合 ページ40
『仁王くん仁王くん、これとかどう？』
私は、仁王くんにアロマキューブを差し出した。
『凄くいい匂いなの、嗅いでみてよ』
「ほぉ…確かに甘い匂いがするぜよ」
『だよねだよね…！瓶の中、ドライフラワーいっぱいですっごく可愛い。どうかな？』
「そうじゃな、これにするぜよ。お会計行ってくる」
『うん、いってらっしゃい』
自分のご褒美として、何かお土産でも買っていこうかな。と思ったので、仁王くんがお会計してる間、私はお店の商品を吟味していた。
仁王くんが戻ってくるまでにそう、時間はかからなかった。
『おかえり、仁王くん。2人、待たせてるから、いこっか』
丸井くんと、陽葵はどこにいるかLINEで連絡すると、ショッピングモールの１階にいるらしい。
待たせる訳にもいかないので、少し急ぐことにした。でも大事なプレゼントもあるわけで。焦ってプレゼントを落とす訳にもいかない。
陽葵と丸井くんの元へ向かうとき、仁王くんに話しかけられた。
「Aは花が好きなんか？」
突然の質問に少し戸惑ったが、私の答えは明白だった。
『うん、とっても。どのお花も繊細で綺麗だから。でも、何よりも花言葉が好き』
「花言葉…か」
『花言葉ってね、お花一つ一つにエピソードがあってそこから由来されてるの。花言葉の意味も好きだけどそうなった背景も好きでよく調べてる』
入院生活のとき、病院内にひっそりとある小さな図書室に“花言葉図鑑“という本があった。私はその本の虜だった。
本当に、何故かはわからないけど“花言葉“に夢中になっていた。朝から晩まで一日中暇だったので、何回も、何回もページを捲っていたのだ。
「Aが1番好きな花はなんじゃ？」
『好きなお花、か。
私の好きなお花はね……
向日葵』
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作者名：牡丹 | 作成日時：2022年5月1日 14時
