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「ねぇAちゃんってさ、お兄ちゃんいる?」



「っ、なんでわかったんや?もしかして角名くん稲荷崎行ったりするん?」




「話が早いね、あと俺バレー部」




今度こそやってしまった、という顔をする。





「お、お願いやから、あいつにはなんも言わんといて、」





「安心して、言わないし…言ったら俺もバレるじゃん」




ケラケラと笑いながら言う彼に安堵の表情を浮かべるA。そして容赦なく角名は話を続ける。




「Aちゃんってさ、学校どこ?稲荷崎?」




「私は学校行ってへんよ。将来の為に勉強はしてるけどな」




「ふーん」




「興味無さそうやな」



「そんなことないよ。」



北さんの数少ない弱みを握れそうだから、という言葉は飲み込む。



「驚かないんやな」




「なんで?」




「普通、髪なんて染めんといて、ピアスも無く、高校生やったらちゃんと学校行って、楽しく過ごしてるやろ。それなのに学校にも行ってへん私を驚きもせず、否定もせずにしてくれたのは角名くんが初めてや。」




「そうなの?でも今のAちゃんはなんか寂しそうだけどね、てかその髪やっぱ染めてた?」




「まぁ、この髪のせいで学校も行ってへんし…」




「暗くてあれだけど…かわいいよ、似合ってる。」




そう言うと分かりやすく赤くなるAの顔。髪のことを褒められたのが初めてだったからなのか。




おもむろにスマホの画面を見ると二十三時。




「角名くんそろそろ帰り、ご両親心配するやろ」





「いやいやいや、Aちゃんのお兄さんの方がやばいでしょ」




「あいつはいいんや。もう一年顔見とらん」




何かを察したのかそれ以上は何も言わず立ち上がる。
そんなちょこっとの優しさに胸を打たれる。



片手に持っていた煙草の火を消すよう促し、自分の煙草の火も消す。




「じゃあ帰るね。ありがとうAちゃん。あ、俺の事、倫太郎って呼んでもいいんだよ?」




そう言う角名に名前呼びも悪くない、と挑発するように別れの言葉を告げる。




「またな、倫太郎。またいつか会えるやろ。」









これが、人生を変える彼との出会いだった。

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ヤナ - ヤバすぎ、、、、倫ちゃんがタバコとか、、、、想像するだけでにやけてまう、、、、 (2021年4月8日 17時) (レス) id: 4f2b53094b (このIDを非表示/違反報告)
- 初めまして、コメント失礼します!夢主ちゃん惚れました(((更新楽しみに待ってます!応援してます!!! (2020年12月20日 3時) (レス) id: f55a523df1 (このIDを非表示/違反報告)
- 神作品降臨ですわ....ありがとうございます!!! (2020年12月19日 19時) (レス) id: 98cd497361 (このIDを非表示/違反報告)
ナツカぬ - めちゃくそ面白いです!更新頑張って下さい! (2020年12月19日 10時) (レス) id: 00b7d99141 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とうか | 作成日時:2020年11月15日 4時

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