高校生の事情【角名倫太郎】

35.変心 ページ35

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バイト帰りに、侑と並んで駅まで歩く。
こうして落ち着いて侑のことを見ていると、倫太郎と変わらんくらい身長高いな。



「なんやねん、ジロジロ見て」
「いや…背高いなと思って」
「お前は小さいよなあ」



昔からずっと背は低かったけど…高校生になってもあんまり伸びてはいなくて
長身の侑と並ぶとすごい身長差だ。
倫太郎も…背は高かったけど中学のときはまだ180cmなかったし。
ここまで身長差がある人と並んで歩くのはなんだか慣れない。



「なんで…私なん？」



つい、そんな台詞をこぼしてしまう。
侑なら、もっと美人で身長も高くてスタイルいい女の子くらいすぐにつかまるだろう。



「そやからお前はアホやねん」



侑は私の方を向いた。




「なんでとかないのが恋愛やなんて、お前が一番わかっとるやろ」




そう言って侑は…私のことを抱きしめた。
倫太郎に抱きしめられたのは、もうずっとずっと昔なのに
あの時と感覚も香りも全然違う、と思った。
代わりになんて出来ない。
忘れるために、利用なんてできない。
けど、倫太郎のこととは関係なく、侑は私にとって特別な存在やと
今、そう思った。




「なんで、やろうな。一生懸命なAのこと見てたらいつの間にかお前がええって思ったんや」
「侑…私、あんたのこと…」




好きになるかもしれん。もう、好きかもしれん。
けれどその言葉は胸にしまった。

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