16.故郷 ページ16
.
「おい、待てや」
宮侑は私を引き留めた。
「何？そろそろ部活行かんでええの？」
「行くけど………その、相談とか乗ってやらんこともないで」
私は驚いて目を見開いた。
宮侑が？相談乗ってくれるって？
「何で？」
「何でって………お前、そんな悪い奴ちゃうかなって思ったから」
宮侑にこんな優しいことを言われるなんて少し気味が悪い。
けど、多分本心や。目を見たらわかる。
「ありがとう…」
「そうや、素直になっとけ。なんかいつも無理しすぎやろ」
めちゃくちゃ嫌な奴やと思ってたけど。
心底悪い人やないみたいや。
改めて優しい言葉をかけられると、涙が出てしまう。
「ほな部活頑張ってな。また明日」
私は涙をぬぐって、宮侑に手を振った。
電車に揺られて一時間。いつもの田舎町に私の家はある。
「A、おかえり。今日はバイトやないんやな」
店にはお客さんはいなかった。
お母さんは、洗い物をしたり、片付けをしている。
お父さんは夜の分の仕込みも終わって客席でお茶を飲みながら新聞を読んでいた。
「なんか元気ないな？」
お母さんに言われてぎくりとする。
「いや、そんなことないで」
「そうか。A、同じ中学やった子高校におらんから寂しいんちゃうかなと思ってな……少し心配しとったんよ」
悲しいことがあっても。優しい父と母のいる家に帰ってくるだけでホッとする。
土日、バイト入れてしまったな。
たまには萌とも遊びたい。
やっぱり、小さい頃からいたこの家とこの町と友達は
稲荷崎に進学した今でも、大事やから……。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 217人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茜(プロフ) - ぬーすけさん» コメントありがとうございます！角名くん原作だけではわからない部分が多いので結構捏造しちゃってますが、そういっていただけると嬉しいです。励みになります！頑張って更新していきます！ (2019年7月20日 12時) (
レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)
ぬーすけ(プロフ) - コメント失礼します。角名くんの設定やオリキャラの立ち位置も素敵だなぁと思って読まさせて貰いました。面白いです！更新頑張ってください(*^^*) (2019年7月20日 8時) (レス) id: fde1a18fb1 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 愛永さん» ありがとうございます！前作と違って甘い感じはほとんどないので申し訳ないのですが……頑張って更新します！ (2018年11月2日 17時) (レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)
愛永(プロフ) - 続編おめでとうございます！！もう、最初っからとても面白いです…。角名くん、何があったのかとても気になります…！更新頑張ってください！応援しています！ (2018年11月2日 17時) (レス) id: ba4d172ca4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茜
| 作成日時：2018年10月31日 9時
