高校生の事情【角名倫太郎】

1.面影 ページ1

.



淡くて可愛い、中学生の恋愛だった。
小学生のときに転校してきた、角名倫太郎に恋をした。
中学でやっと、両思いになれたのに
ほどなくして彼は転校した。
同じ高校へ行こうと言う約束を信じて。



稲荷崎高校の合格発表当日。
勉強は得意ではなかったけど、頑張って勉強して、受験の時は合格ラインにまで達していた。
私の住んでいる地域からは、少し遠いこともあって友達で受けている子はいなかったから
一人で発表を見にやって来た。


正直、めちゃくちゃ不安。



倫太郎とは…実は、あれから数回電話をしたり
手紙を書いたりしたけれど
直接会えることがなかった。
彼は部活で忙しくて、長期の休みも普通の土日もバレーボール一色の生活だったから。
そのうち、電話も手紙も交わすこともなくなっていた。
それでも私は信じていたんだ。
稲荷崎高校へ入学すれば、また会えると。



「入試の時も一人で来たけど…やっぱこの辺は都会でわかりづらいなぁ」



稲荷崎高校の周辺は、県内でも都会の方。
田舎育ちの私は道に迷ってしまった。
学生らしき人も見当たらなくなった。
完全に間違えた。


けれどやっぱり運命ってあるんやと確信した。
2年以上たっていても、変わらないカッコイイ姿。
学ランに身を包んだ倫太郎らしき男の子が、そばを横切ったのだ。



「倫太郎！」



私は思わず叫ぶ。
倫太郎やんな？間違えるわけないよな？
私の声に振り向いたので、駆け寄ろうとした。



すると、彼はそのまま無視をしてスタスタと歩いていってしまったのだ。

2.合格→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す